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2016.03.26 (Sat)

黒い瞳 18

~淳子20歳~


若林がこの世を去って、義父母はすっかり老け込んでしまった。
寝込む日も多くなり、
4ヶ月後に義父が心不全で亡くなり、
さらにその2ヶ月後には後を追うように義母が脳溢血でこの世を去った。

新しい1つの生命の誕生と3つの命の終わり・・・
なんと波乱の1年。

淳子の心の支えは由紀子の笑顔と、
義父母の看護に尽くしてくれた看護師の佐々木順平の存在であった。


佐々木は事あるごとに、
淳子を食事に誘ったり、由紀子の喜ぶおもちゃをプレゼントしたりしてくれた。

淳子は次第に佐々木に思いを寄せていった。
『健太が亡くなり1年にも満たないと言うのに・・・』
淳子は自分の心を否定しようとしたが、
佐々木の澄んだ瞳に見つめられると、頬を染め、ときめいてしまうのだった。

そして、何度目かの食事を共にした時のことであった。
「若林さんは、僕のことを、どう思われていますか?」
唐突に佐々木が淳子に問いかけてきた。
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「えっ?」

「僕はあなたに惚れてしまった。
真剣にあなたとお付き合いをしたいと思っています。」

「私は・・・」

健太を忘れることなどできないと思っていた。
しかし、こうして佐々木に口説かれると、
気持ちは20歳の娘に戻ってしまいつつあった。

佐々木は、この食事をしているホテルの1室に部屋を取ってあるという。
淳子と一夜を共にしたいと誘ってきた。

『私はそんなふしだらな女ではありません!』
そう言って席を立とうとしたが、なぜか体が動かなかった。



部屋に入り、すやすやと眠っている由紀子をソファに寝かすと、
佐々木が後ろからそっと抱きしめてきた。
淳子は佐々木に身を委ね、甘い吐息を吐いた。

二人は熱い口づけを交わし、抱き合いながらベッドに崩れ落ちた。

「待って、洋服が皺になっちゃう・・・」

「僕が脱がせてあげるよ」
佐々木は慣れた手つきで、
あっという間に淳子を一糸まとわぬ姿にしてしまった。

『健太・・・ごめんなさい・・・』

一度、火が点いてしまった体は、もう止めることができなかった。
「佐々木さん・・・」

「順平と呼んでほしいな。」

「ああ・・・順平・・・」


順平は今までの男のなかでも群を抜いて上手だった。
前戯だけで何度も絶頂を味わった。
そして、今まさに順平を迎え入れようとしたその時。
se308.jpg

今までソファでスヤスヤと眠っていた由紀子が
火の着いたように泣き出した。

あやしに行かなくては・・・

そう思うのだが、
順平の魔術にかかってしまった身体は由紀子よりも順平を求めた。

ママ・・・だめよ!
ママ・・・だめ!!
まるで淳子に警鐘を鳴らすかのように由紀子は泣き続けた。

しかし、順平に貫かれた瞬間、
淳子の耳にはもはや由紀子の声は届かなかった。

久方ぶりの男との交ぐあいに何度も達し、
最後にとてつもない大きな波が淳子を襲った。

いつしか、由紀子は泣き止んでいた。
由紀子はソファの上で淳子を見つめていた。
その大きな黒い瞳は、
まるで淳子を非難しているかのように、じっと淳子を見据えていた。
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