2017.10.05 (Thu)
JOY(濡れる女医) 16
出張から帰ると仕事が山のように堆積していた。
「大場さんのカルテを見せてもらうわね」
幸人もギプスが外れ、間もなく退院という見通しとなっていた。
「あら、珍しい…奈美先生がナースステーションに来るなんて」
ベテランナースの小向洋子がイヤミのように呟いた。
「担当医室の私のパソコンが不調で電子カルテが見れなくて…」
洋子のイヤミを軽く受け流して奈美はカルテに目を落とした。
暇なのか洋子が奈美に近づくと小声で一言
「先生…男ができたでしょ」と囁いた。
「先生…男ができたでしょ」と囁いた。
「えっ?!」
光太郎の事など知らないはずなのに…
「長年女をやってるとわかるのよ、先生、匂いが変わったもの」
「勤務中はフレグランスなど付けてませんけど…」
「ううん。香水とかではなくて、女の体臭って言うのかしら、世間でよく言うフェロモンってヤツよ」
「彼氏かぁ~。出来たとすれば嬉しいんですけどね」
言葉を濁して再びカルテ探しを続けることにした。
会話を続けているとうっかり墓穴を掘りそうだった。
「誤魔化してもわかるんですよ。女はね男が出来ると体型が変わるの。その人の子供が欲しくなってお尻の丸みが増すの」
そうなのだろうか…思わず奈美はお尻に手をやった。
「こんにちは」
二人の会話を打ち切るようにナースステーションの前を大久保早苗が軽く会釈をしながら通り過ぎる。
後ろ姿を見送りながら大久保さんって確か先日退院されたのでは?と洋子に問うと
「大場さんが目当てよ~、何だか仲が良くてね退院後もああやって見舞いに来るのよ。着替えとか持って来てまるで母親気取りよ…」
「そうなんですか~、でも、患者さん同士不仲になるよりはいいじゃないですか」
「そうだけどね~、まあ、大場さんとこは共働きでなかなかお見舞いに来れないから親御さんとしても助かるんだろうけど…」
でも、そう言えば…と洋子が言葉をつないだ。
でも、そう言えば…と洋子が言葉をつないだ。
「大久保さん、あの人も匂いが変わったわよねえ…もしかしたら幸人君のお父さんと不倫関係になってたりしてね」
まあ、それはないか~と笑い飛ばしながら自分の席に戻って行った。
幸人と大久保早苗さん?
なんだか胸騒ぎがする…
奈美は慌てて幸人の病室に駆け込んだ。
「幸人く…ん…」
奈美の目に飛び込んできたのは下半身を露出させた幸人と股間に顔を近づけてる早苗の姿だった。
「あ、あら…回診かしら?」
着替えのお手伝いをしてあげてたのと見えすいた噓を吐き「喉が渇いてるでしょ?ドリンクを買ってくるわね」と早苗はあたふたと病室を抜け出した。
「どういうこと?」
奈美とすれば真由子が好きだと言っていたので、てっきり真由子といい仲になってくれるものだと思っていた。
「俺、早苗さんと付き合うことにしました」
「はあ?早苗さんはもうすぐ50才よ?」
「年齢差なんて関係ないじゃないですか」
そう息巻く幸人の目は真剣そのものだった。
「真由子ちゃんの事はもういいの?」
「最初は真由子ちゃんがタイプだし、いいなあと思ったけど…今は早苗さんを愛しているんです。それに真由子ちゃんは彼氏が出来た様なことを言っていましたし…」
この言葉に奈美は愕然とした。
真由子にも彼氏が?
「あ、あの~…もうよろしいかしら…」
大久保早苗が缶コーヒーを手にして病室を覗きこんだ。
「あ、ごめんなさい。ええ、回診は終わったわ」
大久保早苗が缶コーヒーを手にして病室を覗きこんだ。
「あ、ごめんなさい。ええ、回診は終わったわ」
退室する際、早苗とすれ違いざま「幸人君を大事にしてあげてね」と告げると
「そのうち捨てられるだろうけど、最後の恋を謳歌させていただくわ」と微笑みながら言った。
その夜、真由子と夜勤シフトが同じだったので内線電話を使い真由子に宿直医室に来てもらった。
「真由子ちゃん…彼氏が出来たんだって?」
「真由子ちゃん…彼氏が出来たんだって?」
そう尋ねると真由子は深々と頭を下げ「ごめんなさい!内緒にしてるつもりはなかったんだけど…」と謝った。
「ううん、怒るつもりはないの、逆に喜ばしい事だわ…実は私も…彼氏が出来たの…」
「本当ですか~?わあ、おめでとうございます」
「でもこれでレズビアンパートナーの関係は解消ね…」
「最後にもう一度、抱いてくださいって言ったら怒りますか?」
「えっ?」
「夜勤があけたら先生のお車の前で待っていていいですか?…」
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