2ntブログ
04月≪ 12345678910111213141516171819202122232425262728293031≫06月

2019.02.23 (Sat)

いろはにほへと

江戸幕府が開設され、
徳川家により日の本の国は平穏な時代となった。
幕藩体制がしっかり整われたことにより、
石高の少ない藩は武芸の鍛錬よりも
参勤交代の準備に明け暮れる日々であった。

ここ大坂でも冬の陣、夏の陣と
たいそうな争いがあったことなど夢のように
平穏が訪れていた。
大坂は商人の町として知られるようになったが
河内の山の麓では商いよりも未だ農家が多く、
ほとんどの民は田畑を耕して暮らしておった。

そんな小さな山村に
ある日、浪人がやって来た。
侍の名は「是永  策ノ進」と言った。
策ノ進は腕の立つ侍であったが、
藩の剣術大会で家老の跡取りを
こてんぱんに打ちのめしてしまったものだから
城内でたいそう立場が悪くなり、
やがてここには自分の居場所がないのだと悟り、
脱藩して放浪の旅に出たのだった。

蓄えてあった金子(きんす)を懐に入れ、
流離(さすら)ってみたものの、
旅籠(はたご)暮らしは思いのほか金がかかり、
懐の金はあっという間に底をついた。
武士は食わねど高楊枝…
そんな悠長な事を言ってる場合ではなかった。
この数日間、湧き水しか口にしていなかったので
気を抜くとめまいがして倒れてしまいそうだった。
策ノ進は集落の庄屋の屋敷を訪ね、
働き口がないものかお願いしてみることにした。

blog_import_4feadfeef292d.jpg 


「策ノ進さまと名乗られましたかの?」

「さよう、拙者、是永策ノ進と申す」

「仕事にありつきたいと?
長旅で薄汚れておるが、
あなた様のような立派な武士に畑仕事など…」

「拙者、脱藩した身ゆえ、どのような仕事でも喜んで奉仕させていただきたく…」
口上を述べる策ノ進の言葉を茶を持ってきた庄屋の娘お吉が口を挟む
「武士をやめられたのならそのような話し方から改められてはどうですか?」
ハッとなって策ノ進は娘に目をやった。
年の頃は15、6といったところだろうか、
目上の者に意見するとは
鼻っ柱が強いおなごと見受けられた。
藩士としての自覚があった頃なら『無礼者!』と叱責し、
この場で首を刎ねていたかもしれぬ。
だが、脱藩し、侍の心を捨てた今は「これは手厳しい」と言って笑うしかなかった。

「まあよい…菩薩堂の横に数坪の荒れ地がある…
そこでよければ耕して畑にするがよろしいでしょう」




庄屋が貸してくれた土地は想像以上の荒れ地だった。
石ころだらけで岩もあり、打ちつけた鍬が折れてしまうかとさえ思えた。
数日間頑張ってみても畑にはほど遠かった。
「うち、手伝うたろか?」
やかんに茶を入れて差し入れに来てくれた庄屋の娘が助太刀を申し出た。
「いらん!おなごに手伝ってもらったと知れたらとんだ赤っ恥だ」
「そんなん言うたかて、このままやったら何年たっても畑にならへんよ?」
もっともな意見だった。
策ノ進自身、心が折れかかっていた。
「侍さんには畑仕事が向いてへんってことやわ
なあ、うち、ええ事思いついてん」
お吉が目を輝かせて一案を投じた。
「あんた、寺子屋の師範してみいひん?」
「寺子屋の?」
「そうや、ほら、そこにええ感じのお堂があるやん」
お吉は前々から読み書きそろばんを習いたいと思っていたと告げた。
その顔はおぼこい少女ではなく、立派に女の顔をしていた。

40-13s.jpg 

お吉の案を庄屋に提案したところ、たいそう歓迎された。
「ご覧のようにこの地域は田畑によい土とは言えず、
子供を奉公に出すにも大坂は商人の町ですよって
読み書きそろばんができる奉公人はたいそう重宝される」

さて、問題は寺子屋の月謝である。
策ノ進としては金子を稼ぎたかったが、
貧しい農民にはそんなものを払う余裕がなかった。
「策ノ進さまは学問を教える。そのお礼に食べ物をもらったらええやん」
お吉が手をポンと叩いて妙案を出した。
日々飲まず食わずの策ノ進だったのでお吉の案で
手を打つことにした。

寺子屋は盛況だった。
口減らしのため奉公に出したくてもそろばんはおろか
読み書きさえ出来ぬ子をなかなか引き受けてくれる店がなかったからだ。
せめて多少なりとも読み書きが出来れば引き受けようという店がいくつもあったので
農民たちはこぞって寺子屋に行かせた。


しかし、月謝代わりの食い物が大根ばかりなのには驚いた。
「仕方あらへんわ。この時期は大根しか獲れへんよって…」
そうや、うち、漬け物にしたるわ。
そう言ってお吉は家からぬか床をかすめてきて甲斐甲斐しく漬けはじめた。

「そなたはなぜこのように拙者の世話をしてくれるのだ?」
ぬか床を混ぜるお吉の尻を眺めながら策ノ進は尋ねてみた。
「うち…あんたが好きやよってに…」
か細い声で告白したお吉の尻が心なしか策ノ進を誘っているようであった。

20141127051007592.jpg 


PS.久々に時代劇ものです
古風な口調+舞台が大阪なので関西弁が多く出て来ます
少し読みにくいかもしれませんね
関西弁なので漢字変換がしんどいんですけど
よければお付き合い下さい。
舞台は大坂のとある農村です
寺子屋を中心に若い性と熟れた女の性を描いて行きます。

現代版の学園生活を題材にしたカテゴリー「禁断の自由形」も併せてお楽しみいただければ幸いです。

拍手、コメントもよければよければお願いします


テーマ : 18禁・官能小説 - ジャンル : アダルト

00:00  |  いろはにほへと  |  Trackback(0)  |  Comment(4)

Comment

嫌らしさが無いのがとても良いです。
ストーリも良いし品のいいエロさを感じます。
面白そうですね。
時々、読みに来ます。
浴衣の裾から露わになる桃尻…
コレはかなりイケてますね。
sakamoto |  2019.02.27(水) 11:13 | URL |  【編集】

Re: タイトルなし

sakamotoさん、コメントありがとうございます
古臭い人間なので、たまに時代劇を書きたくなります(笑)
序章なので最初は舞台背景が主なんですが
やはりそこはアダルトカテゴリーなのでスケベシーンを織り交ぜていきます
ほーくん |  2019.02.27(水) 19:15 | URL |  【編集】

時代劇とは・・・

ワクワク!(^^)!
なつみ |  2020.05.27(水) 13:40 | URL |  【編集】

Re: タイトルなし

なつみさん、コメントありがとうございます。
たま~に時代劇モノを書きます。
なんか古風な言い回しが好きなんですよね~
性戯のカタカナ表記がないのでイマイチかもしれませんが楽しんでもらえれば幸いです
ほーくん |  2020.05.28(木) 08:47 | URL |  【編集】

コメントを投稿する

Url
Comment
Pass  編集・削除するのに必要
Secret  管理者だけにコメントを表示  (非公開コメント投稿可能)
 

▲PageTop

Trackback

この記事のトラックバックURL

→http://hawks5810.blog.2nt.com/tb.php/525-fb763643

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事へのトラックバック

▲PageTop

 | HOME |