2ntブログ
04月≪ 12345678910111213141516171819202122232425262728293031≫06月

2021.05.26 (Wed)

貴方に抱かれて私は蝶になる 13

キングサイズのベッドに
艶かしい室内灯…
それがどこで何をする部屋かというのは
平常心を失くしたリリーでもすぐに気がついた。
「稲本さん…貴方って人は…」
親切な言葉を掛けてくれても
所詮、男は男…
よりによって心痛で心が乱れているのをいいことに
こんなところに連れ込むなんて。
「稲本さん!バカにしないでください!」
リリーは稲本の頬をおもいっきり打った。
クリーンヒットだっただけに
稲本はよろけて片膝をついた。
「少し元気が戻ってきたようですね
でも、念のために少しだけ横になりなさい
大丈夫、リリーさんには指一本触れませんよ
少し休ませた方がいいと思ったので…
横になれる場所といえば
こんなところしか思い浮かばなかった私が悪いんですけどね」
そう言って稲本は立ち上がり、
冷蔵庫から冷えたビールを一本取り出した。
コップにビールを注ぐと
「喉を潤しなさい。
適度なアルコールは心を落ち着かせてくれます」
そういえば喉がカラカラだった。
リリーさんはコップを受け取ると、
冷えたビールを一気に飲み干した。

20210525053231931.jpg

「ショックだったわ…
吉井さんが自殺するなんて」
空になったコップを見つめてリリーさんはポツリと呟いた。
「リリーさんを迎えにいった時に、
あなたを見送りに玄関に出てきた彼を
チラッと見かけましたが、
あの人、体が弱かったんじゃありませんか?
かなりやつれておりましたし…」
リリーさんを見送るときに手を振る彼の手が
痛々しいほど細かったのを稲本は記憶していた。
「あの人、糖尿を患っていて…
いつもは勃起しないのに
最後だというあの日だけ勃起して…」
思い出したのか、リリーさんは涙をポロポロと溢した。
「彼は射精できましたか?」
稲本の問いかけにリリーさんは「うん」と頷いた。
「そう…それは良かった…
きっと思い残すことはないと自ら命を絶ったんですよ」
リリーさんの涙の量が増えた。
『余計に思い出させてしまった…
俺って、慰めるのが下手だな…』
会話すればするほどドツボに嵌まりそうな気がしたので
「さあ、横になりなさい」とリリーさんをベッドに横たえた。
しばらくは目を閉じてリリーさんはおとなしくしていました

202105250544146d3.jpeg

稲本さんはというと、
リリーさんに背を向けてスマホゲームに興じていた。
「稲本さん…」
名前を呼ばれて「はい、なんでしょう?」と振り替えると
リリーさんが、手招きしていました。
「少しの間でいいんです
私の隣に来て抱き締めてください」
慰めるには人肌が一番かとおもい、
稲本さんはリリーさんに添い寝をして
優しく抱き締めてあげた。
リリーさんは稲本さんの胸に顔を埋めて甘えました。
よしよし、いい子だと
稲本さんはリリーさんの頭を撫でてやりましたが
リリーさんの髪の甘い匂いがしてきて
稲本さんは勃起してしまったのです。
『よりによってこんな時に勃起しなくても…』
これではリリーさんのいうとおり
弱さにつけこんでセックスを企むヤクザな男ではないか。
なるべく腰をリリーさんから離した。
第三者が今の稲本さんの姿を見れば
吹き出すこと間違いなかった。
そんなことは露知らず、リリーさんはもっと抱きしめてと
稲本さんの腰に手をやって引き寄せた。

20210525060219d16.jpeg

「稲本さん?」
自分の下腹部に当たる強ばりにリリーさんは気づいた。
「いや、これは違うんだ、
なんというか男の生理現象というか…」
ええい!言い訳してなんになる!
ここは男らしく謝ろうと
稲本さんはベッドから飛び降りて床に正座して土下座した。
「正直に言います!俺はあんたの匂いに欲情しました。
それもこれも貴女に惚れてるからです!
ここに連れ込んだのも、
大半は貴女を休ませるためでしたが
うまく行けばヤレるかなと
1%…いや、5%ぐらいは下心がありました!
でも信じてください!私は正真正銘貴女が好きです
貴女に惚れています!!」
戯言です。忘れてください。
さあ、気持ちが落ち着いたのならここを出ましょう。
お送りしますと稲本さんは早口で喋りまくった。
リリーさんは同じようにベッドを降りて
稲本さんの正面に同じように正座した。
そして稲本さんの肩を抱いて土下座をやめさせると
「ごめんなさい、
私、貴方がデルヘルの送迎のお仕事をしているから
てっきり貴方がアウトローの方だと思い込んでました」
貴方は純粋な素敵な男性よと言って
リリーさんは稲本さんにキスをしました。
「リリーさん…」
「抱いてください…抱いて全てを忘れさせてください」
リリーさんは稲本さんの手を取ると
胸の膨らみへと導いたのです。

20210525070133b6f.gif

テーマ : 18禁・官能小説 - ジャンル : アダルト

07:20  |  貴方に抱かれて私は蝶になる  |  Trackback(0)  |  Comment(4)

Comment

ほのぼのとしますね

こういうハッピーエンドを用意していたのですね。
二人の逢瀬でファイナルかな?
リリーさんと稲本さん幸せになれそうですね。
風花(かざはな) |  2021.05.26(水) 08:13 | URL |  【編集】

Re: ほのぼのとしますね

風花さん、コメントありがとうございます
稲本さん、お気に入りのリリーさんに受け入れてもらえそうです♪
エンディングまであと二話となりました
ほーくん |  2021.05.26(水) 09:09 | URL |  【編集】

男って、そういうつもりが無くても
勃っちゃうんですね。
二人が幸せになれば、それはハッピーですね。
ありがとうございました。
ロベール.S |  2021.05.26(水) 21:04 | URL |  【編集】

Re: タイトルなし

ロベールさん、コメントありがとうございます
男の生理現象、ほんとに困ってしまうときがあります
スケベな事を考えてなくても勃起するときがあります
温泉に浸かっている時に勃起したのには参ってしまいました(笑)
あと数話で完結します
お付き合いありがとうございます
ほーくん |  2021.05.26(水) 21:25 | URL |  【編集】

コメントを投稿する

Url
Comment
Pass  編集・削除するのに必要
Secret  管理者だけにコメントを表示  (非公開コメント投稿可能)
 

▲PageTop

Trackback

この記事のトラックバックURL

→http://hawks5810.blog.2nt.com/tb.php/890-09777480

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事へのトラックバック

▲PageTop

 | HOME |