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2016.07.23 (Sat)

蒼い月光 38(原案 あすか)

男一人と女二人が川の字になって静かな寝息を立てていた。
静寂の闇の中で寝息だけが流れていた。

八重は濡れた股間の冷たさで目を覚ました。
『はっ!!快楽に溺れてとんでもないことをしてしまった』
慌てて起き上がると、寝間着を羽織り湯殿へ向かって走り出した。

子種を受け入れたあとはすぐさま洗い流そうと決めていたのに
あまりの激しい交わりであったので
あのあと、気を失ってしまったようだ。

湯殿の湯はすっかり冷めていた。
ほとんど水といってもよかった。
だが八重はお構いなしに桶にその冷めた湯をすくい取り己の股間に流した。

何度も何度も冷めた湯を浴びせ、指を突っ込んで一生懸命に掻き出した。
『私が千代さまよりも先に身篭ってはならぬ!!!』
願わくば己の畑が姥桜ゆえ、子種が芽を出さぬようにと念じながら何度も何度も・・・
maeda01.jpg

その時だった。
「案ずるな、そなたは懐妊しておらぬ」
そうはっきりと聞こえた。

「何奴?側室の湯浴みを覗くとは無礼千万!!!」
慌てて振り返ったがそこには夜の闇が押し迫り人の気配すらなかった。

空耳であろうか・・・・
そう自分に言い聞かし、再び桶に冷めた湯を汲んだ。

「驚かせてすまぬ、訳あって姿を見せぬことができぬ・・・」
再び低い女の声をしっかりと聞いた。
それはまるで自分の背後にぴったりと寄り添い、
肩を抱きながら語りかけているようだった。

素早く湯船に飛び込み、身を隠した。

「誰?誰なのです!」

「私に姿、形はございませぬ。八重様の心に直に語りかけておりまする・・・」

「もののけの類(たぐい)か!」

「そう思われても仕方ございませぬ。例えるのなら・・・そう、千代さまの守護霊・・・」

「なんと・・・千代さまの・・・・」

「千代さまは、そなたを心底お慕いしておりまする。
私も千代さまをお護りいたしますが、できればそなたにも力を貸していただきとうございます」

打ち首を助けていただいた時から、この身命は千代に捧げると誓ったので
迷いなく大きく首を縦に振った。

「すまぬ・・・・近々のうちに、千代さまが不可思議な行動を取られるとは思うが
その時は死を覚悟して千代さまと行動を共にしてくれると約束してくださいますか?」

不可思議な行動?
いったい、何をされるというのか・・・
だが何があっても千代を守るのが自分の出世の本懐であるべきように感じた。

「ご安心下さいませ、この八重、命にかけて千代さまにお仕えさせていただきます」

「かたじけない・・・・そなたの亭主も霊山で誇りに思われるであろう・・・」


しばらくすると、声は聞こえなくなった。
あれは、夢現(ゆめうつつ)の幻であったのか・・・
八重は体が震えだした。
それは冷めた湯が八重の体を冷やしたための寒さからではなかった。
ダウンロード (14)



明け方、肌身の寒さに千代は目を覚ました。

一緒に寝ていたはずの八重の姿は消えていた。

剣山は大の字になって高いびきで寝入っていた。

風邪をひいてはいけないと剣山の裸体に掛け布団をかけてあげた。

幸せだった。
このまま時が穏やかに流れてくれればよいのにと思った。

だが朱里との契が頭をよぎった。

は!そういえば3人での愛の時間が終わればすべてを語ってくれると
言っていたはずだ。

千代は目を閉じて、己の心の中に語りかけた。
『朱里・・・朱里、いるのであろう?』

『はい、ここに控えております』
いつもと変わらぬ低く暗い声が心の中に響いた。

さあ、そなたの真意を語っていただこうではないか・・・
千代は朱里を問い詰めた。

『時が来たようでございますね・・・千代さま、どうか私にお力をお貸しくださいませ』
千代は大きくうなづいた。
無言で話の先を急かした。

『千代さまにはお体を貸していただく際に私の一生を見ていただきましたね』
千代が見た朱里の一生・・・
それは自分の伴侶である剣山によって生命を絶たれて終わっていた。

『朱里・・・そなたは剣山様によって命を絶たれた・・・
私は、それを見て、あなたが成仏できないのは剣山への恨みつらみからだと思っていたのですが、
先日、あなたは剣山には恨みがないとおっしゃいましたね』

『はい・・・私が討ちたい相手は・・・』
再び千代の心が白く霞んでゆく・・・
剣山との一騎打ちのその後を千代に見せようとしているのだった。
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テーマ : 18禁・官能小説 - ジャンル : アダルト

11:27  |  蒼い月光(コラボ作品)  |  Trackback(0)  |  Comment(2)

Comment

おーっと!
お楽しみの後で、一気に佳境に入って来たぁ~
真相は・・・ドキドキ(゚∀゚*)(*゚∀゚)ドキドキしながら
読み進めます(o^O^o)おほっ
影依 |  2016.07.24(日) 23:24 | URL |  【編集】

Re: 影依さん、コメントありがとうございます

はい、長かったお話も
いよいよクライマックスです
私なら5ページぐらいで終わってました(笑)
過去に行ったり来たりで私自身「?」となったりしました
ほーくん |  2016.07.25(月) 12:38 | URL |  【編集】

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