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2016.07.29 (Fri)

蒼い月光 45(原案 あすか)

「がはは、落ちろ、落ちろ!みんなまとめて谷底へ落ちてしまえ」
やれやれ、上玉の女を抱けると思っていたのが仲間を全滅されちまったい。
また一から猛者どもを集めなきゃなんねえじゃねえか‥‥

ハラワタが煮えくり返っていた。
鬱憤晴らしに里へ降りてひと暴れするか

そんな事を考えながら、
谷底へ落下してゆく女を見つめていると
女はクルリと宙返りして男と向かい合った。
女は落下しながらも笑っていた。

『ん?恐怖のあまり気でも狂ったか?』
だが、よく見てみると女の手には砲丸のような玉を掴んでいた。

「父母の仇!思い知れ!!」
千代が腕を振り下ろすと、砲丸は男を目掛け真っ直ぐに襲いかかってきた。

とっさに男は鉈で砲丸を叩き落とした。
次の瞬間、砲丸は閃光を発して炸裂した。
爆風が男の足を、腕を、腹を、頭を吹き飛ばした。
gf01a201501261700.jpg

谷底へ落下しながら男の最期を見届けた、
これで全てが終わった‥‥

もう、思い残すことはこれっぽちもなかった。
いや!違う!
この体は、この命は千代のものなのだ
無傷で千代に返すと誓ったではないか!

谷底に目をやると谷に流れてる川は水量も豊富で水深もかなりあるようだ。
うまく行けば助かる!
朱里は千代の頭を抱え、来るべき衝撃に備えた。

次の瞬間、その衝撃が訪れた。
はるか上空から水面に叩きつけられた衝撃は、水面ではなく石畳に打ちつけられたかのようだった。

川の水は身を切るような冷たさだった。
濡れた着物が手足にまとわりついて泳げない‥‥
千代の体はどんどん川底に引きずりこまれ、浮上することができない。
朱里自身はいくらでも呼吸を止めて水中に潜る自信があったが、千代の体には限界があった。
身体の全細胞が酸素を求め始めた。
着物を脱ぎ捨てなければ‥‥
とにかく手足を自由にしないとこのままでは溺れてしまう。
水中では帯が容易に解けない‥‥
BahamasGirl9.jpg

やがて意識が遠のきはじめた。
目の前が暗くなってゆく。
千代の霊魂が離脱しようとしていた。

『ダメ!千代!まだ逝ってはダメ!!』
朱里が離脱しかける千代の霊魂を必死につなぎ止めた。

その時だった
千代の帯を掴み、グイっと引き寄せる者がいた。
兵吉が沈みゆく千代を見つけ、救助に来たのだった。

着物の水の抵抗は凄まじく、ともすれば川底へ共に引きずり込まれそうになった。

『急がねば・・・!!!』
千代はすでに意識がなかった。
華奢な兵吉は身軽で上忍の類であったが、水難の者を救助する訓練など受けていなかったので難儀した。
歯を食いしばり、必死に水を掻いた。



どうにか岸辺に引きずり出したが、すでに千代は呼吸していなかった。

「ごめん!!!」意識のない千代に謝りをいれて急いで帯を解き、心の蔵のあたりを押した。
今までに実際に施したことはなかったが、
たしか蘇生術とは心の蔵のあるところを手で押すのだと聞いていた。

「千代さま!!!逝ってはいけませぬ!!!戻って来なされ!!!」
必死で蘇生術を施した。
兵吉の濡れた体が燃えるように熱くなり、湯気が立ち上りはじめた。

「息は・・・呼吸はしておりまするか?」
近くで心配げに見守っていた八重が声をかけた。

八重は水面に叩きつけられる寸前のところだったが、
兵吉が追いつき抱き寄せ、首と頭をかばってくれた。
だが着水の際に脚を折り動けずにいた。

『はっ!!!そうだ息だ!!口移しで息を吹き込まなければ・・・!!!』
蘇生術とは心の蔵を押しながら口移しで息を吹き込むこと・・・
師匠に教えられた言葉が鮮明に思いだされた。


「八重さま、どうか力をお貸しくださいませ!!」
兵吉は悲鳴にも似た声で八重に手助けを求めた

蘇生術とは時間との闘い‥‥
たとえ息を吹き返しても時間を要すれば寝たきりになることもあるとか・・・

「八重さま、息を・・・息を吹き込んでくださいませ!!!」

「え?・・・」

「口移しで!!早く!!」

八重は脚を引きずりながら千代のそばに寄った。
覗き込んだ千代の顔が青白い・・・
死人のようだった

早く息を吹き込まなければ!!
八重は焦りながら唇を重ねた。
14050545945.jpg

いつもと同じ柔らかい唇・・・
だけど氷のように冷たい・・・
人肌の温もりが感じられなかった。

兵吉と八重の共同作業が始まった。

『お願い・・・千代、息を吹き返して・・・』
体を重ね、お互いの秘所を見せあい舐めあった女。
愛情と共に主従関係の太い絆で結ばれた仲ではあったがいつしか我が娘のような慈しみをも抱いていた。
決して逝かせてはならぬ。

『千代さま!逝ってはなりませぬ!』
鬼食い番という下っ端の自分に手をさしのべ大義であると褒めてくれた姫。
身分へだたりなく接してくれる心優しい姫。
命に変えても必ず蘇生させてみせる!

長い時間のように感じられた。
だが実際は数分間の攻防であった。

やがて「ごぼっ」と大量の水を吐き出して千代が息を吹き返した。
二人の思いが奇蹟を与えた。

「千代さま!!!」

「千代~~~!!!」

閉じられていた千代の目が再び日の光を感じて開かれた。

「八重・・・兵吉・・・・」
三人は生(せい)の悦びを味わってしっかりと抱き合った。

テーマ : 18禁・官能小説 - ジャンル : アダルト

08:40  |  蒼い月光(コラボ作品)  |  Trackback(0)  |  Comment(2)

Comment

ε= (*^o^*) ほっとしました♪

取りあえず、仇は取れた。。。
って事は、今後のみんなの身の振り方でしょうか?
朱里は無事に成仏しそうだしぃ

まだ、波乱があったり?(*'艸`)

影依 |  2016.07.29(金) 14:39 | URL |  【編集】

Re:影依さん、コメントありがとうございます

一通りの終結です ^^

あと一話、エピローグ的なお話がありますので
ぜひ最後まで読んでいただければと思います
ほーくん |  2016.07.30(土) 07:27 | URL |  【編集】

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