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2018.07.16 (Mon)

白い雫(あすか原案) 29

理恵の仕事は相変わらず順調だった。
それどころか、さらに分校を増やそうかという勢いだった。
経営のことについて、さらに勉強しようと書店を訪れてみた。

思うような書籍が無く、諦めかけて書店を後にしようとした。
その時、1冊の小説が目に付いた。

「?」
見覚えのある名前に目を留めた。

「江本順也?・・・順也くん?」
手に取り、パラパラと内容に目を通す。
順也、理恵、直樹、里中・・・知っている名前が連なっている。
『これ・・・順也くんが書いたんだわ!』
迷わず、その書籍を購入した。

内容は女性が読むには刺激すぎた。
しかし、理恵は読了した。
順也くん・・・・
涙が溢れて止まらなかった。

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。。。。。。。。。。。

順也は、思いがけない磯崎の訪問に戸惑った。
『なに?原稿依頼なのか?』

「うふふ、何しに来たんだって顔してるわね」

「えっ?いや、今日は会う約束してなかったよね?」
さきほど、取材旅行から帰ってきたばかりだから、体はクタクタだった。
抱いてほしいとせがまれても、たぶん今日は勃起しないだろう。

「会う約束をしていないと訪ねてきちゃダメ?」

いや、そんなことはないけど・・・
言葉を濁していると、彼女はバッグをゴソゴソし始めた。

『バイブとかで遊んで欲しいのか?今日は勘弁してくれよ』
嫌そうな顔がでてしまったのか、僕の顔を見て、
「うんざりって顔ね。ふん、いいのかなあ。そんな顔をして。
せっかく大事な届けものを持ってきてあげたのに」

届けもの?

「ジャジャーン!これなにかわかる?」
手には書簡が握られていた。

「手紙…かな?ファンレターですか?」

「ピンポーン!でも、ただのファンレターじゃあないわよ。たぶんね・・・」
そう言って手紙を僕に手渡してくれた。

差出人の名前を読んで、僕は仰天した。

『川原理恵』

えっ?うそ?ほんと?
急いで、中の便箋を取り出し、読んでみた。

「なんて書いてあるの?」
磯崎が興味深そうに尋ねる。

『拝啓 江本順也様
あなたの書かれた「白い雫(しずく)」を読ませていただきました。
あなたは○○中 学 で私と同級生だった順也くんですよね?

あなたの書かれた官能的な文章に赤面しながらも、
あの短かった中 学 校の思い出を懐かしく感じました。
あれから30年、順也くんにも家族ができて幸せな家庭を築かれていることでしょうから
ご迷惑かと思いますが・・・
順也・・・できることならもう一度会いたい・・・
この手紙があなたの元へ届くことを信じて、
そしてあなたが同級生だった江本順也くんだと願い連絡先を書かせていただきます。
090-△△△△-○○○○』

「会いたいって・・・会いたいって書いてあるよ!!」

「よかったですね先生。・・・・これで私と先生のラブラブな関係も終わりですね」
磯崎の頬に一筋の涙が流れた。

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僕は我が目を疑い、何度も何度も手紙を読み返した。
本当に?本当に理恵なのか?



数日ためらった後、僕はスマホを手にとって書かれていた番号に電話してみた。

『はい、川原です』
その声だけでは理恵ちゃん本人かどうかわからなかった。
30年という時間の流れは当時の声の記憶を消し去っていた。

たとえ記憶があったとしても、お互いに変声期を迎えてわからなかっただろうが・・・

「もしもし・・・順也です」

「順也くん?・・・ほんとうに順也なの?」

「理恵ちゃんなのか?」

「理恵です。嬉しい・・・ほんとうに連絡が取れたなんて・・・」

聞けばすこし離れているものの、同じ都内に住んでいるという。
逢いたいねという問いかけに
「いいの?逢ってもらえるの?」という弾んだ声が僕の耳に小気味良く響いた。


翌日、僕は精一杯のおしゃれをして待ち合わせ場所でそわそわしていた。
頭髪は若干薄くなり、体型も見事におじさんとなった僕を
理恵ちゃんは見つけられるだろうか?
理恵ちゃんはどうだろう?やはり変わってしまっているだろうか?
お互いに会った時の楽しみということで写メの交換はしないことにしていた。

そんな期待と不安を胸にドキドキしていると、手にしていたスマホに着信があった。

「すいません・・・あの~ベンチで座っていて
緑のカーディガンを羽織っている素敵なおじさまがもしかして順也くん?
理恵です。あなたから10mほど後ろに立っています」

あわてて振り向いた僕は驚いた。
あの頃の可愛い理恵ちゃんが、いや、あの頃よりも成熟し、
色香の匂い立つ綺麗な理恵ちゃんがそこにいた。

「そうです。順也です。
よくわかりましたね。
あの頃とすっかり変わってしまって驚いたでしょ?」

「ううん。後ろ姿をひと目見て、あっ順也くんだ!ってわかりました」

すいません。逢いたいだなんて無理を言ってしまってと恐縮する僕に
「いいえ、ほんとうに私もすごく逢いたかったんですもの」と笑ってくれた。

公園のベンチに腰掛け、今までの空白を埋めるように二人はしゃべり続けた。
僕が官能小説作家を生業としていること。
何人かの女性とお付き合いをしたが縁がなく、いまだに独身だということ。

理恵ちゃんは、アメリカに住んでいた時に
オーストラリア人と恋に落ち、結婚はしたものの子宝に恵まれず
その後離婚し、今は誰ともお付き合いをしていないということ。

「ねえ、あの小説、どこまで実話なの?」

「あれかい?僕と幼馴染の直樹の会話や、理恵ちゃんを慕う僕の気持ち以外は創作だよ」

「そうよね。わたし、あんなにグラマーじゃないし、オナニーもしないわよ」
そう言って二人で爆笑した。

「ねえ、じゃあ、公園で手をつないでデートをしたいってのも本音?」

「もちろんさ」

「じゃあ、ご希望に応えて・・・」
理恵ちゃんは笑顔でそう言うと手を差し出した。
僕は理恵ちゃんの手をやさしく繋ぎ、夕闇の中、僕たちはキスをした。

ねえ理恵ちゃん、毛、生えている?
30年後の大人になった僕はそんな間抜けな問いかけはしなかった。
でも、直樹の言ったように理恵ちゃんはほんとうにいい匂いがした。

その夜、理恵を自宅へ招いた。
再会を祝して、シャンパンで乾杯をした。

夜も更けた頃、理恵ちゃんが唐突に切り出した。
「ねっ、あの続きしよっか?」
30年前、理恵の部屋でキスをした。
理恵の母からの電話がかかってこなければ、あの後、2人は結ばれていた筈だった。
「うん」

2人はベッドに倒れこんだ。
そしてようやく2人は結ばれた。
夢にまでみた理恵の白い身体を何度も何度も貫いた。

順也・・・愛しているわ

理恵・・・僕も愛しているよ

理恵の喘ぎ声とベッドの軋む音しか部屋には響いていなかったが
僕たちは心で会話していた。

30年分の思いをこめて理恵を抱いた。
理恵も空白の時間を埋めるように愛の泉を潤わせた。

理恵・・・理恵・・・もう君を離さない。
理恵はその思いに応えるかのように僕の背中に爪を立てた。

そして僕は白い雫を理恵の子宮に浴びせかけた。

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テーマ : 18禁・官能小説 - ジャンル : アダルト

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Comment

初恋

色々あっても最初の純愛?に戻れて良かったですね
でも早くも中出しですか
グレース |  2018.07.16(月) 07:53 | URL |  【編集】

Re: 初恋

原点回帰と初恋の成就がテーマのお話でした
生挿入、中出しがバンバン出来るのはフィクションならではです
ほーくん |  2018.07.17(火) 12:27 | URL |  【編集】

素敵な結末に、温かい気持ちになりました。
ありがとうございました。

最後の一文と、最後の画像も、
私は好きです。
愛乃糸 奈美 |  2018.07.18(水) 01:04 | URL |  【編集】

Re: タイトルなし

最期の一行をかきたいがためにダラダラと書いたようなお話でした(笑)
また次回作もよろしくね
ほーくん |  2018.07.18(水) 09:27 | URL |  【編集】

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