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2014.08.04 (Mon)

キャンバスの華 13

熱い一夜が明けた。
次郎に貫かれてすぐに華は昇りつめた。
次郎もまた今までに経験したことのない早さで
華が絶頂を迎えると共に同時に果てた。

拘束を解いてあげると華は甘えるように次郎に抱きついてきて
次郎の体の温もりを感じると安心するように眠りについた。
次郎もこのまま時間が止まればいいと思いながら
華の身体を撫でながら眠りに落ちた。

翌朝・・・
次郎は美味しそうな味噌汁の香りで目が覚めた。
起き出して台所に顔を出すと割烹着姿の華が
トントンと軽やかなリズムで香の物を切っていた。

「あら、次郎ちゃん、おはよ」
次郎に気づくと華は明るく声をかけてきた。
『次郎さん』と呼ばれた昨夜は幻聴だったのだろうか。
狐につままれたようにポカンとして立ってると
「早く用意しなさいな。今日も風呂屋さんに壁画を書きに行くんだからね」
と、まるで昨夜になにごともなかったかのように
いつもの朝が次郎を待ち受けていた。

慌ただしく支度を済ませると二人は昨日の風呂屋へ出向いた。
今日は女湯の壁に富士の絵を書き上げなければならないのだ。
いつものように次郎は華の後ろを三歩下がって歩いた。
「次郎ちゃん・・・」
町内を出たところで華が次郎に呼びかけた。
「はい」
なんだろうと思っていると華がスっと右手を差し出した。
『え?・・・・』

「早くぅ~」
女学生のように右手を差し出したままその場でピョンピョン飛び跳ねた。
こ、これは・・・・
手を繋ごうという合図なのだと悟った。
次郎が左手を差し出し華の右手をしっかりと握ると
「うふっ」と笑顔を見せて次郎に身体を寄せて甘えてきた。

「せ、先生・・・あの・・・・」
この意図はなんなのだ?・・・
次郎が戸惑っていると華が語り始めた。
「次郎さん・・・公私混同はしたくないの・・・だからお仕事のときは
今までどおり師匠と弟子よ」

「はい・・・それはもちろん・・・でも今は?」
作業場へ向かう道のりもすでに仕事の領域に入っているのではないだろうか?

「うふ・・・我慢できなくなっちゃった・・・・」
だからせめて風呂屋へたどり着くまで甘えさせてほしいのと
恥ずかしそうに下を向いた。

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風呂屋に到着する前に二人は繋いでいた手を解いた。

さりげなく・・・・
いつもの師弟のように振舞わなければ・・・・

風呂屋の女将はすこぶる機嫌が悪かった。
なぜなら今日は旦那さんが在宅していたからだ
それ以上に作業に訪れた次郎たち二人が醸し出す愛の香りが気に食わなかった。

風呂屋の亭主は昨日に描いた男湯の富士の絵をたいそう褒めた。
「ぜひ女湯の方は赤富士を描いてもらいたいものだ」

賃金を払ってくれる亭主の要望ならば
応えないわけにはいくまい
「わかりました。精一杯、描かせていただきます」

「わたしゃ、絵描きに興味があってね・・・
絵が仕上がっていくのを見学させてもらおうかな」
これには参った・・・
集中したいから一人っきりで描きたいのだが・・・
しかし雇われの身としては拒みにくい・・・

「そうだねえ、あんたは絵に興味があったんだよねえ・・・
じゃあ、ここで見学させてもらうといいやね
お弟子さんは・・・昨日と同じように私のお茶の相手をしておくれ」
女将は、これ幸いとばかりに旦那の提案に膝を打って大賛成した。

このとき、旦那が値踏みするかのように華の身体を
舐めるようにみつめていたのを誰も気付かなかった。

012_20140106230928977.jpg



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テーマ : 18禁・官能小説 - ジャンル : アダルト

21:57  |  キャンバスの華  |  Trackback(0)  |  Comment(6)

Comment

ラブラブな感じの二人が良い感じなのに…
華に忍び寄る黒い影が…

Horney Honey |  2014.08.05(火) 20:27 | URL |  【編集】

Re: Horney Honey さん

> 華に忍び寄る黒い影が…

はい ^^
華もそうなんですが
次郎もまた・・・・
いよいよ乱れていきますよ~
ほーくん |  2014.08.05(火) 21:51 | URL |  【編集】

おはよ♪

(*゚∀゚)ワォ
いよいよ、ドロッと人間臭さが出てきますね(*′艸`)

ジェラシーも感じつつ、快楽の扉の前で地団駄。。。
風呂屋の旦那も、かなりの遊び人っぽいし・・・

乞うご期待!!
待ってまぁ~~~ス(*^O^*)
影依 |  2014.08.06(水) 09:46 | URL |  【編集】

Re: 影依 さん

> いよいよ、ドロッと人間臭さが出てきますね(*′艸`)

ほんまですねえ・・・・
大正ロマン作品に仕上げたかったのですが・・・ (^_^;)

ふたりの若者が熟年夫婦の体でさらに開発されてゆく・・・
というふうに考えています


ほーくん |  2014.08.06(水) 11:39 | URL |  【編集】

私は大正ロマンとして読んで嬉しくなってしまいました。まだ後があるんですね。
グレース |  2014.08.06(水) 18:38 | URL |  【編集】

Re: グレース さん

わあ、ありがとうございます
そんなふうに言っていただいて作者冥利につきます
ダラダラ書いちゃう癖があるんで
その点はどうかご容赦くださいませ
ほーくん |  2014.08.06(水) 20:29 | URL |  【編集】

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