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2021.06.14 (Mon)

女流作家 1

-   男は女を抱き寄せ、優しく口づけをした。
二人の唇が重なった瞬間、時間が止まった。
朝食を食べた後だったので、
その唇は仄かにハニートーストの味がした。
「もう君を一生離さないよ」
男の言葉に女はうなづき、その厚い胸板に顔を埋めた   -

完結


20210528202431f1e.jpeg
菱沼桐子は最終稿をメールに添付すると
出版社の担当者へ送信した。

ほどなくして担当者の辺見義明から
桐子のスマホに連絡してきた。

『先生!いいじゃないですか!
今度もまた重版出来(じゅうはんしゅったい)まちがいなしですよ』
ペラペラと数分に渡り賛辞を桐子に投げ掛けて
通話は終了した。

女子大に通っているときに
趣味で書いていた小説を出版社に投稿し、
それが小説専門の月刊誌に掲載されるやいなや
人気に火がつき、単行本化され、
年末には、その年の新人賞を総なめした。
清純な恋愛小説を好む女性から絶大な支持を得て
桐子は押しもおされぬ文芸小説家として
今の地位を確保した。

だが、数々の小説を書くにつれ
桐子は疲弊していった。
桐子は仕事用の高スペックのノートパソコンを閉じると
「はあ~…」とため息をついて目頭を押さえた。
「最近、無理してるんじゃないんですか?」
専業主夫の夫である晃が食器を洗いながら
カウンターキッチンの向こうから声をかけた。
「ううん、平気、平気」
桐子は努めて明るい声で返事をした。

夫の菱沼晃は女子大生だった桐子が
小説を応募した出版社の社員だった。
桐子の処女作が単行本化される時に
専属の編集担当となった。
忘れもしない、あれは二作目を執筆中の事だった。
締め切りに追われてる時に
よりによって
桐子のワンルームマンションのエアコンが
故障してしまった。
「先生、急いでください。入稿まであと半日ですよ」
急かされれば急かされるほど
暑さと苛立ちでペンが進まない。
菱沼晃も風通しの悪い部屋と
生ぬるい扇風機の風で汗だくになっていた。
冷却シートをおでこに貼り付けても
首筋に汗が流れ落ちてきて集中できない。
「これじゃあサウナで
原稿を書いているようなものです」
この部屋を出ましょうと
晃は桐子を近くのシティホテルに連れていった。
部屋は快適で、
汗ばんだ肌があっという間にサラサラになった。
おかげで無事に時間内に書き上げることができた。

20210528203827b2a.jpeg

原稿データーを、編集部に送信すると
菱沼晃もようやく落ち着いたのか
安堵の表情を浮かべた。
「先生、ゆっくりとシャワーを浴びてください
どうせ家に帰ってもエアコンが潰れているし
安らげないでしょうから今夜はここに泊まってください
部屋代は出版社の経費で落とせますから」
それを聞いて桐子は助かるわと思った。

シャワーを、浴びて浴室から出ると
豪華なディナーが用意されていた。
「これは?」
そう尋ねると「ルームサービスで頼んじゃいました
大丈夫、経費で落とせますから」
経費で落とせるというのは魔法の言葉だった。
どちらの財布も傷つかないのだから
桐子は悪のりしてどんどんアルコールを頂いた。
菱沼晃はアルコールに強くないのか
「少し横になります」とベッドに横たわると、
すぐにイビキをかいて寝てしまった。
ツインルームだし、
彼の会社の経費だから
彼にも泊まる権利はあるわよねと、
そのまま寝させてあげることにしました。
『でも、スーツのままというのはねえ…
シワになっちゃうわ』
お節介だとは思いながら
桐子は菱沼のスーツを脱がすことにしました。
しかし、スラックスを脱がすと
トランクスが見事にテントを張っていたのです!
「先生、俺、欲情しちゃってます」
寝ていると思った菱沼が
急に起き出して桐子に覆い被さってきたのだった。

20210528204428f34.jpeg

。。。。。。。。。。。。

官能小説は男性だけのモノではありません。
いや、もしかしたら愛読者は女性の方が多いかもしれません。
もちろん女性でも官能小説を書く作家さんもいます。
藍川京先生、花房観音先生、丸茂ジュン先生…

活字離れの昨今ですが、
文字にはDVDなどのビジュアルにはない
奥行きの深さがあると思います。
素人ゆえ、駄文の羅列はご勘弁頂き
よければ最後までお付き合いいただければ幸いです。




テーマ : 18禁・官能小説 - ジャンル : アダルト

10:08  |  女流作家  |  Trackback(0)  |  Comment(4)

Comment

女流作家 1

いろいろと経費で落とせるって良いですね。
私は、あまり経験が無いですね。
とても羨ましい。
ロベール.S |  2021.06.14(月) 20:49 | URL |  【編集】

Re: 女流作家 1

ロベールさん、コメントありがとうございます
バブルの頃はどんどん経費で落とせとばかりに
飲み会に行っても帰りは「これを使いなさい」と
タクシーチケットをじゃんじゃんくれたものでした
懐かしい良き時代でした
ほーくん |  2021.06.15(火) 06:36 | URL |  【編集】

新作ですね

楽しみです。
今度は、女流作家と専業主夫のお話ですか?
どんな展開になるのでしょう?
風花(かざはな) |  2021.06.16(水) 07:27 | URL |  【編集】

Re: 新作ですね

風花さん、いつもコメントありがとうございます
はい、新作です。
思いつきで書き始めたので
これからどうするか自分でもよくわかっていません(笑)
イメージを膨らませるのに旅行とかして見聞を広めたいんですけど、あいにくのコロナでそれも出来ず…
頭の中だけで考えたお話って尻すぼみになるんですよねえ
ほーくん |  2021.06.16(水) 07:46 | URL |  【編集】

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