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2020.08.13 (Thu)

真夏の夜の夢 3

吉備の国(現在の岡山県)に井沢正太夫という富豪が住んでいた。
そこの息子の正太郎という男はこれまた性欲の強い男で
毎晩のように花街に遊びに出掛けては女を買い、
それこそこのままでは穀潰しになるのではないかと
父親の正太夫は心配した。
「どうしたものかねえ‥」
正太夫は妻のお近に相談してみた。
「所帯を持てば女遊びも控えるかもしれませんわ」
なるほど、それは妙案だと隣の国に磯良という器量良しの娘がいたので
縁談を持ちかけた。

そのような両親の親心も知らず
正太郎は今宵も花街のお袖という女に入れ込んでいた。
「ねえ…ほんとにわたいを嫁にしてくれるのかえ?」
お袖は正太郎の逞しいへのこを弄りながら甘えるようにそう言った。
「おう、待ってろ、そのうち伴侶に迎え入れてやるさ」
正太郎もお袖のお万こに指を突き刺しながらそう答えた。
「嬉しい…もっと万こしておくれよ」
お袖は正太郎にのし掛かると、へのこをおまんこにあてがうと
そのまま一気に咥え込んだ。
「おお!たまらん!お前の万こはこの世で一番じゃ!」
下からこれでもかと突き上げながらお袖の体を堪能した。

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さて、縁談をもらった磯良の親は、この縁談が吉と出るか凶と出るか
長年の風習である「お釜払い」を神社の神主に頼んだ。
釜の湯が沸き上がるときに牛の鳴き声のような音がしたら吉、
何の音もしなければ凶ということだった。
はたして、その時の湯の音はと言うと
なんとも不吉な無音で湯が沸き上がったのだった。
「これは迷信、静かに湯が沸くこともあろう」
大富豪に嫁にもらうのだから、これ以上の玉の輿はないと
磯良の親は「お釜払い」の結果を見てみぬふりを決め込んだ。

さて、正太郎はと言うと、
嫁に来た女が大層な器量良しだったので祝言の宴もそこそこに
白無垢の磯良をさっさと寝間に連れ込み磯良を四つん這いにさせると
白無垢の裾を捲りあげ、自慢の一物を深々と突き刺した。
磯良は親から初夜の段取りを聞かされていたのだが、
このようなことになろうとは思わなかった。
正太郎の一物は並外れて大きかったので破瓜の痛みも尋常ではなかった。
土方が川岸に杭を打つごとくドシン、ドシンと磯良の万こに大きな穴を開けた。
一物がでかいゆえ破瓜の証も尋常ではなく
まるで殺戮があったかのように白無垢を瞬く間に深紅の着物に染め上げたのだった。
磯良を抱きながら正太郎は興ざめしていた。女郎のあまたの技巧に慣れ親しんだ体は生娘の純情さがもどかしかったのである。

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磯良は両親から女はおしとやかにしておきなさいと命じられていたから
婚姻後一年経っても夜枕の夫婦の営みで喘ぐこともせず
正太郎に抱かれても自ら進んで腰を振ることもなく
ただひたすらになすがままの営みを繰り返した。
これでは男としては次第に磯良から心が離れてゆき
やがて家を抜け出して馴染みの花街のお袖と駆け落ちしてしまった。
自分よりも他の女を選んだのだと磯良は落ち込み、
やがて体を壊して寝込んでしまった。
正太郎の親は申し訳ないと手厚く看護したが
甲斐なく磯良は痩せ細って遂には息を引き取った。
そうとは知らず正太郎とお袖は幸せな日々を送っていた。
お袖との夜の営みは至福のひとときであった。
あ・うんの呼吸で即座に正太郎のハメたい体位に移行するお袖。
遊女として夜の相手はお手のものであっただけに
夜毎正太郎のへのこを蕩けさせてくれた。
四十八手もそつなくこなすお袖…

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しかし、そんな幸せも長くは続かなかった。
お袖が家の中に誰かが居ると言い出したのだ。
ある日、夕げの支度をしていたお袖が急に包丁を振り回し始めた。
「お袖!どうしたのじや!」
包丁を取り上げようにも包丁を正太郎に向かって振り下ろすものだから
近づくこともままならない。
やがて、お袖が「こうか?こうすることがお前の望みか?」と口走ると
包丁の刃を己の首に当て、力強く引き抜いた。
こぼれ刃の古い包丁であったが、その刃はお袖の首をものの見事に切り裂いた。
流れ出た血は瞬く間に白い割烹着を真っ赤に染めた。
まるで磯良との初夜で白無垢を紅く染めたことを思い出させた。

正太郎は近くの菩提寺にお袖を懇ろに弔った。
ある日のこと「毎日ご苦労さまでございます」と
墓で度々出会う女中に声をかけられた。
これも何かの縁と、木陰でしばし歓談してみた。
正太郎は惚れていた女が死んで寂しい日々を送っていると正直に話した。
「まあ、奇遇ですわね、うちの奥さまも旦那様を亡くされて寂しがっております」
その奥方というのが大層な美人だと聞いたので
「どうだろう、寂しいもの同士なのだから慰めあおうではありませんか」と提案した。
「それはようございます。奥さまも喜びになることでしょう」
二人は夕闇迫る道を急いだ。
家に着くと奥の間に通された。
「はるばるとお越しくださいましてありがとうございます」
顔を覗かせた未亡人の顔を見て正太郎は「うわっ!」と声をあげた。
なんと奥から出てきた未亡人は痩せ細った磯良だったからだ。

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慌ててその家を飛び出した正太郎は菩提寺の住職に助けを求めた。
「これはいかん!」
正太郎の顔を見るなり住職は
「そなたに悪霊が憑いておる!」と言い切った。
そして「よいか、この御札を出入りできるありとあらゆる場所に張り、
三日三晩お経を唱えなさい」と言って御札をくれた。
住職が言うように戸や窓に御札を張り付け、一心不乱にお経を唱えた。

その夜…お経を唱えて居ると、戸をこんこんと叩く音がした。
「あなた、そこにいるんでしょ?
開けてくださいな…何故か御札が邪魔をしてそこにいけないのです」
地の底から聞こえるような、なんとも、恐ろしい恨み声であった。
何度も何度も正太郎を呼び掛けていたが朝日が昇るとどこかに消えてしまった。
二日目の夜も磯良の亡霊はやって来た。
今度は戸を叩く代わりに家の壁をガリガリとかきむしり始めた。
「くわばら、くわばら…」
正太郎は恐ろしくて自慢のマラも縮み上がり、もう二度と女など抱くまいとちかった。
三日目の夜、ここを、乗りきれば祟りも収まる。
お経を強く唱えた。
また、磯良はやって来た。
散々戸口を叩いたり引っ掻いた後にさめざめと泣き始めた。

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「こんなにもあなた様に嫌われるとは思いませんでした
わかりました。あなた様をあきらめてあの世に参ります
どうぞお幸せにお暮らしくださいませ」
そのような言葉を残したものだから
幸太郎のお経を唱える集中力が途切れた。
ふと、雨戸を見てみると、微かな日差しが忍び込み
それと共に雀の軽快な鳴き声がチュンチュンと聞こえてきた。
「やったぁ~~!わしはとうとう三日間を耐えたのじゃ!」
正太郎は意気揚々と玄関の戸をガラッと開けた。




目に飛び込んできたのは真っ赤な朝日ではなく
漆黒の闇夜であった。
「お前さん、ずっと閉じ籠っているものだから
どうやら時間の流れがわからなくなったのね…
ちょいと妖力を使ってお前さんに朝の幻を見せてやったのさ
お陰でこうして再びお前さんに会うことが出来たわ」
闇の中から髑髏のような磯良が現れて恐れおののく正太郎の前にひざまづくとふんどしをめくって一物を引っ張り出した。
「ああ口惜しい‥他の女と散々お万こした臭いがする!
でも、もう使わないからこんなデカイものは必要ないわよね」
そう言うとしゃれこうべのようにカタカタと歯を鳴らして
あっという間に正太郎のへのこを噛みきった。


三日目の朝が来たので、正太郎という男の安否を訪ねて
御札を施した菩提寺の住職が正太郎の家に行ってみると
庭先で股間から血を吹き出して血だまりの中で息絶えている正太郎を発見した。



真夏の夜の夢 第三夜は如何でしたか?
読んでいて気づかれた読者もおられるかと思いますが
これは「雨月物語」の中から「吉備津の釜」というお話を元にアレンジしてみました。
怪談と言えば小泉八雲の「怪談」が有名ですが
「雨月物語」が日本最古の怪談ではないでしょうか
コロナのせいでステイホームを余儀なくされる今夏ですが
暇潰しに「雨月物語」でも読んで涼しくなってみませんか?






テーマ : 18禁・官能小説 - ジャンル : アダルト

05:50  |  短編集  |  Trackback(0)  |  Comment(4)
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