2019.07.07 (Sun)
ホテル遊び 12
W不倫をしてしまったあの日から3年後…
「ママぁ~、喉が渇いたぁ~」
娘の章子が川岸から可愛いビキニ姿で真智子の元へ駆け寄ってくる。
そして、ふと思い出したかのようにピタッと歩みを停めて後ろを振り返り
「お父さ~ん、早く来ないと章子がジュースを独り占めしちゃうからね」と叫んだ。
はいはい。すぐに行くよ。
川の中からよく冷えたスイカを持ち上げながら
浩二がとびっきりの笑顔を見せた。
「真智子さん、もうすぐ予定日なんでしょ?」
傍らの木陰で我が子に母乳を与えながら、
明子が身重の真智子の体にいたわりの言葉を投げかけた。
「もうすぐと言っても、まだ二週間先よ」
「でも、こんな山奥までのドライブは堪えたんじゃない?」
「大丈夫さ。真智子は章子がお腹にいるときも、
臨月だというのに遊び回っていたぐらい体は丈夫なのさ」
元夫で今や明子の亭主となった正和が
バーベキューの準備をしながらニヤリと笑ってそう言った。
「まあ!そんなことをバラさなくてもいいじゃない」
真智子はわざとらしく頬を膨らまして怒ったフリをした。
「おいおい、三人でやけに楽しそうじゃないか」
大きなスイカを抱えながら浩二が会話に入れなくて少し拗ねたふりをする。
「お父さん、ヤキモチ妬いちゃだめよ~
お父さんには章子がいるんだから、それでいいでしょ?」
章子はもうすぐ5歳…女の子だけあっておしゃべりが達者であった。
明子は自分の乳首に吸いつき、美味しそうに母乳を飲む我が子を見つめながら、
あれほど子供を望んで浩二とセックスしたのに妊娠しなかったというのに
真智子が妊娠したことに驚いた。
『やっぱり子宮が変われば妊娠することもあるのね…』
もともと浩二の無精子症に加え、明子自身も妊娠しにくい体質なのかもしれなかった。
正和に中出しをお願いしたあの日は排卵日だったというのに妊娠しなかった。
再婚して二年目にようやく我が子を授かる事が出来た。
二組のカップルは互いのパートナーを入れ替えていた。
思えば三年前のあの日…
。。。。。。。
性交を終え、身支度を整えてラブホの部屋を出ると、
同じようなタイミングで隣の部屋のドアが開いてカップルが出てきた。
互いのカップルは顔を見合わせて驚愕した。
なんと互いの夫婦がシャッフルしたかのように逢い引きしていたのだから…
そこからは話が早かった。
二組の夫婦は互いに協議離婚となり、真智子は浩二と、
正和は明子を新たなパートナーとして夫婦関係を持つこととなった。
娘の章子のことを考えると離婚せずに偽装夫婦で暮らし、
セックスの時だけパートナーを入れ換えるという案も出たが
明子が正和との間に子供を設けたいと離婚して
パートナーを変えて再婚したいのだと譲らなかった。
子供を接点に二組の夫婦は仲良く行動した。
不思議なのは無精子症と言われた浩二が真智子を妊娠させた事だった。
その事を明子が真智子に問うと
「無精子症と言っても全く精子がないわけじゃないから
妊娠したって不思議じゃないわ」と笑った。
『元夫の正和も浩二さんも血液型は同じO型だし、
お互いに喋らなければ絶対にバレないわ…』
真智子は静かに微笑みながら正和と目を合わせた。
正和もまた真智子の顔を見つめてニヤリと笑った。
完
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