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2021.06.12 (Sat)

紺屋の女房 12

お付き合いくださいました「紺屋の女房」ですが
ついに最終話となりました。

お話的には前回の11話でほとんど終わりなのですが
どうぞ完結までお目を通していただければ幸いです

。、。。。。。。。。。。。


久蔵と高尾が初枕を済ませた翌日、
染物屋「紺屋」は臨時休業となった。
ささやかではあるが二人の祝言を催したのだ。

身内の者は、高尾が遊女あがりと聞かされていたので
あまり乗り気ではなかった。
遊女は梅毒持ちが多いからと
あからさまに不機嫌な人もいた。 
しかし、上座に座るお似合いの二人をその目で確かめ、
おまけに腰が低くて、
よく気がつく高尾を
紺屋に嫁いできた嫁として認めさせるには充分だった。

その次の日から紺屋は通常営業に戻った。
花魁暮らしが長かったからと
庶民の暮らしに慣れるまで母屋でゆっくりしておればいいと
吉兵衛をはじめ、お玉や久蔵は気を使ってあげようとしたが
「この店に嫁いできたからには
一刻も早く客商売に慣れとうござんす」と
姉さん被りをして、せっせと接客をした。
ただ、郭言葉(くるわことば)を使うので
遊女上がりだと小馬鹿にする客もいた。
しかし、大半の客はそんなことを気にする人はいなかった。
逆に郭言葉(くるわことば)が面白いと客が押し寄せ、
どんどんと紺屋は繁盛した。

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ある日、久蔵が反物を染めていると
その作業を見ていた高尾が
「なぜ、何度も染めやんすか?」と尋ねてきた。
「濃い藍色に染めるには
何度も何度も染めなきゃだめなんだよ」と親切に教えた。
だが、それがかえって高尾の疑問を深めた。
「薄くてはダメでありんすか?」
早染めは淡い色しか出ねえからな、
ほら、これが早染めだ。と言って
淡い青白の布地を見せた。
「綺麗でありんす、
夏の空のように澄んだ青が清潔でありんす」
染め職人は昔気質が多く、
色濃く染めねばならぬと思っていただけに、
淡い青色が綺麗だという発想を持っていなかった。
「ものは試しだ。
高尾、淡い色の反物を売ってみるかい?」
淡い青色の反物で着物をこしらえて、
それを高尾に着せて客の相手をさせたところ、
美人ゆえに、淡い青色が映えて、
早染めの反物が飛ぶように売れた。
瞬く間に染物屋「紺屋」は
江戸一番の大店(おおたな)にまで成長した。
「店が大きくなったから女中を増やさねばならない
誰ぞいい子はいないかねえ」
吉兵衛はポツリと呟いた。
それを聞いた高尾は「心当たりがありんす」と申し出た。

高尾が連れてきた女中は
なんと、お鈴であった。
久蔵は大歓迎した。
お鈴は久蔵と高尾の橋渡しをしてくれた恩人なのだから。
お鈴も高尾同様によく働いた。

丁稚見習いと言いながら
下男同様に紺屋に買われてきた久蔵、
口減らしのために遊郭に売られた高尾とお鈴、
三人は力をあわせて紺屋を繁盛させたのだから
人の未来など誰にもわからないものであると
後々まで語り継がれた。

仲睦まじい二人を見て
「あの2人は死ぬまで一緒だろう。
染屋だけに、あいしあう(愛し合う・藍しあう)ほど、
深ぇ仲だからな」と言わしめたそうな…

おあとがよろしいようで…

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。。。。。。。。。

「紺屋の女房」いかがだったでしょうか
私の好きな時代劇ポルノです。
読まれていて「あれっ?このお話って…」と
気づいた方もいるかもしれませんが
有名な花魁の高尾太夫を題材にした古典落語の
「紺屋高尾」をモチーフに
ポルノチックにアレンジしました。
もっとよく「紺屋高尾」を知りたい方は
「紺屋高尾」をWikipediaにてお読みくださいませ
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E7%B4%BA%E5%B1%8B%E9%AB%98%E5%B0%BE

紺屋高尾は実話ということで
染物屋「紺屋」は実在していました。
今も東京都千代田区には「神田紺屋町」として名を残しています。
紺屋があった場所にはビルが建てられ
その一階はなんと「アラジン」と言う名のインド料理店なのです(笑)
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テーマ : 18禁・官能小説 - ジャンル : アダルト

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