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2016.07.27 (Wed)

蒼い月光 43(原案 あすか)

長い戦いはできない・・・・

千代には前々から体力強化をさせてきたが
やはり実戦に向かうだけの体力は身についていなかったようだった。

焦りからか、汗の噴出は半端ではなかった。

千代(朱里)は短刀を握りなおすと一歩前に足を運んだ。
そのとき、お頭がさっと右手を上げた。

『へへへ・・・茂みに弓の名手が隠れているのさ・・・
これでお前も終わりさ・・・』
茂みから弓矢が飛んでくるはずだった・・・
だが一向に矢は放たれない・・

『ん?どうした?』
もう一度、右手を天に向かって突き上げた。

次の瞬間、枝葉をザザザっと鳴らして黒い影が姿を現した。
images (1)

「残念だが弓の使い手はあの世に逝っちまったようだぜ」
兵吉が音もなく弓矢の使い手の背後に忍び寄り、首に手裏剣を突き刺していたのだ。

「兵吉!!」

「千代さま、遅れまして申し訳ござらん」
兵吉は千代を守るように前に立ちはだかり、懐から手裏剣を取り出すと
目にも止まらぬ速さで投げ込み、手下どもを一網打尽にした。

残るはお頭ただ1人・・・

「てめえら!許さねえ!!」
お頭は歯ぎしりして悔しがった。
無理もなかった、コツコツと猛者を集めて徒党を組むまでに築き上げた組織を
一瞬にして崩されてしまったのだから‥‥

「覚悟!!」
短刀を脇に構えて走り出したときに、草むらから一本の矢が放たれた。

『ちっ!息の根が止まってなかったか!』
兵吉は素早く跳躍し、身を挺して千代を守った

「ぐっ!」
矢は兵吉の右足の太ももに突き刺さった。
右足がジンジンと痺れた。
「トリカブトか!?‥‥」
足の付け根を真田紐で縛り上げ毒が体中に回るのを防ぐと
腰にぶら下げていた麻袋から蝮を取り出した。
images (2)

「目には目を!毒には毒を!!」
これでも喰らいやがれと蝮を矢の放たれた茂みを目掛けて投げつけた。
茂みの中から断末魔の叫び声があがった。
転がるように茂みから飛び出した男の腹に蝮がしっかりと食らいついていた。

喉に突き刺さった手裏剣によって瀕死の状態だったところに
蝮の毒が体に入ってはひとたまりもなかった。
男はあっという間に絶命した。

「拙者としたことがドジを踏んじまって‥‥」
最後の最後で助太刀の力になるどころかお荷物になってしまったことを詫びた。

「なにを申すか、兵吉のおかげで残るは頭ひとり‥‥もとよりさしでの勝負は望んでいたこと‥‥」

だが兵吉は山賊の頭の腕前は、そんじょそこらの猛者など足元にも及ばないことを見抜いていた。
一刻も早く解毒しなければ‥‥
そして千代さまの助太刀をしなければ‥‥

兵吉は懐から解毒玉を取り出して口に含むとガリっと噛み潰した。

「覚悟!」
解毒玉が効いてくれるのを待たずに、千代は頭に挑みかかった。

あと数分!数分だけお待ちください!!
兵吉の叫びが声にならない‥‥
解毒玉の苦味が舌を痺れさせて呂律が回っていなかった。

小太刀を逆手に持ち替えて、頭の喉笛を目掛けて飛びかかった。

「ガハハ!甘いわ!!」
鉈を一振りすると、その刃は千代の小太刀の刀身を捉え、パキンと金属音を残して折ってしまった。

「ガハハ!覚悟しろや!!」
頭が鉈を振り上げた。
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テーマ : 18禁・官能小説 - ジャンル : アダルト

11:37  |  蒼い月光(コラボ作品)  |  Trackback(0)  |  Comment(2)
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