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2018.05.09 (Wed)

揉ませていただきます 1

宴会場からは賑やかな声が漏れていた。 
アベノミクスとやらで大企業はそれなりに潤っているのだろう。 
一時期、閑散としていたアクセスの悪い温泉郷にも秘湯ブームとやらで、
大企業の団体客が週末になると大挙として押し寄せていた。 
宴会が一段落するとマッサージ師の吉富健斗の出番がやってくる。 
今でこそ温泉宿から仕事を頂く指圧師だが、
数年前までは自分の整体院を持ち、それなりに繁盛していた。 
だが近所に大手のマッサージ店がオープンするや、
料金体系やサービス内容に太刀打ち出来るはずもなく、
客足が瞬く間に遠のき赤字続きとなった。 
開業するための借金の返済にも困るようになり、
仕方なく店を畳んで逃げるようにやってきたのがこの温泉郷だった。
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このような辺鄙(へんぴ)な土地にも組織というものが存在し、
〇〇温泉街指圧協会なるものに加盟していないと
温泉旅館から仕事の依頼が廻ってこないという仕組みになっていた。 
しかしながら連盟に加入しても新参者にはなかなか仕事が回って来ずに健斗の家系は火の車だった。 
ある夜、久方ぶりの仕事を終え、旅館から自宅に帰る間際にその旅館の女将から声を掛けられた。
 「あなたが最近やって来た指圧師さんね?」 
40半ばの女将はそう言いながら健斗を値踏みするように頭の先からつま先までしげしげと眺めた。 
「はい、新参者ですのでうまく仕事が廻ってきませんが頑張らせて頂いてます」 
「あなた、腕の方は確かかしら?」 

女将は現在のシステムに不満があるのだと言った。 
お客様からフロントに指圧の依頼があった場合、
旅館から指圧協会に派遣の依頼をしなくてはならず、
依頼した時点で協会へのマージンが発生するのだと女将は嘆いた。 
「上手な指圧師さんならいいのよ。
でも、中には下手な方もおられてその都度お客様からフロントに苦情があるのよ…」 
そこで女将は専属の指圧師を従業員として雇う計画を立てているのだと言った。 
「もちろん協会には指圧師として雇うのではなく、
雑用係として雇用すると説明するので
指圧の仕事が無いときは掃除などもしてもらわなきゃいけないけど…」 
健斗としても願ってもない誘いだった。 
月に数回しか指圧の仕事がない現状では生計が破綻するのは明らかだったからだ。 
「もし雇っていただけるのであれば是非!」 
「待って。それはあなたの指圧の腕が確かな場合よ。
私自身が適正試験をさせて頂くけどよろしいかしら?」 
腕には自信があったので健斗は二つ返事で了解した。 
女将専用の休憩室に招かれ、「お布団がいいのかしら?ベッドでも大丈夫?」と聞かれた。 
指圧の効果を知ってもらうのは布団がベストだった。
ベッドだとスプリングが指圧の力を逃がしてしまうからだ。 
だが、きっとお客様の中には洋室の方もおられるだろうし、
何が何でも布団でなくてはいけないとわがままを言えないので
健斗は「どちらでも大丈夫ですよ。女将さんが寛ぎやすい方を選んで下さい」と答えた。 
「第一問目、合格ね…中には絶対にお布団だという頑固者もいたわ」

さあ、入って…
招き入れられた部屋は女将専用の休憩室とは名ばかりで、
四畳半の小さな部屋に布団がひと組ぽつんと敷かれているだけの殺風景な部屋だった。
「帯は解いたほうがいいのよね」
建斗の返事も待たずに女将は帯を解き始めた。
シュルシュルという和服特有の淫靡な音がBGMのように部屋に流れた。
「指圧で生地が傷んでしまいますから長襦袢だけのお姿でお願いします」
「第二問目も合格ね、あなたの目にはいやらしさが宿っていないわ」
今までの中には長襦袢姿を目の当たりにして胸元と尻を穴の開くように見つめる男もいたそうだ。
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テーマ : 18禁・官能小説 - ジャンル : アダルト

17:26  |  揉ませていただきます  |  Trackback(0)  |  Comment(2)
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