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2014.06.24 (Tue)

ネットのプリンス 27

静かにドアを開けて部屋に入ると、
彼女は背を向けてベッドに腰掛けていた。

「あの・・・お聞きかと思いますが、社長のご用命で・・・」
そう話しかけると彼女は下を向いて固まってしまった。

「そう緊張なさらずに・・・とにかくお話でも・・・」
彼女の向かい側に回り込み、ツインのベッドに腰を下ろして
彼女と対面に座った。

女性はおずおずと顔を上げた。
「あっ!!」
おもわず洋介は驚きの声をあげた。

「あなた・・・やっぱり洋介・・・さん・・・だったのね」
ドアのインターホンの声を聴いたときに、なんともいえないデジャブ感に見舞われたのは
やっぱり錯覚ではなかった。

彼女は洋介の別れた妻『友美』だった。
「な、なぜ、き、君がここに・・・・」
洋介は狼狽えた。まさか別れた妻とこういう形で再開するとは思ってもみなかった。

「それを聞きたいのはこっちよ」
そう言って友美は立ち上がり、力任せに洋介の頬にビンタをくれた。

「あなた・・・いったい何をしてるの?こんな・・・体を売るような真似なんかして・・・」
二発目のビンタが飛んでくるのを、洋介は軽々と友美の腕を取り阻止した。

「ま、待て!!待ってくれ!!とにかく落ち着いてくれ!!!」
洋介が諭すと、「そうね、別れた夫が何をやろうと自由よね」とつぶやき、
再びベッドに腰を落とした。

「寂しかったんだ・・・・」
ポツリと洋介は今までの事を語り始めた。

「財務省のエリート官僚だった男がここまで落ちぶれるなんて・・・」
友美は日焼けして精悍な顔立ちになった洋介の頬をそっと撫でた。
先ほどビンタされて熱をもった頬に友美のか細い指が心地よかった。

「こうしてまた巡り会えたのも何かの縁かしらね・・・お茶でも飲みますか?」
洋介の返事も待たずに窓際のテーブルに歩を進めて、ポットから熱い湯を急須に注ぎ始めた。
『気に入らない場合はお茶を飲んで世間話でもして追い返せばいい・・・
そう彼女には伝えてあるわ・・・』
女社長の言葉が洋介の脳裏に蘇った。

女社長から紹介された女性が別れた妻だなんて滑稽じゃないか。
彼女の心が洋介から離れてしまっているのがわかっているのに長居は無用だ。
さっさとこの場を去って隣室へ向かうことにしよう。
だが、その前に友美がなぜ大阪の会社に?そこのところだけは、是非とも聞いておきたかった。

「私、あなたと別れてから東京を離れて大阪に行ったの・・・
あなたと同じ街の空気なんて吸いたくなかったから・・・
そうこうするうちにこの会社で秘書の求人があったから飛び込んだのよ」
そう言えば、友美は結婚するまでは、とある会社の秘書をしてたっけ・・・

「でも、毎月生理前になるとイライラして失敗を繰り返しちゃって・・・
これはもう体が男を求めてるに違いないと社長がおっしゃって、
いい男を紹介するから会いなさいと・・・」

「それが俺だったわけか・・・
会ってみてガッカリだろう?その男が愛想をつかした元旦那だなんて・・・」
では、今回の契約はご破綻ということで・・・
洋介がそう決めつけてドアに向かって歩き出そうとするのを
友美の声が引き止めた。

「待って・・・け、契約は・・・成立よ!」
そう言って友美は洋介の背中に抱きついてきた。

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12:39  |  ネットのプリンス  |  Trackback(0)  |  Comment(6)
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