2017.10.15 (Sun)
女優 第Ⅱ章 2
プロのメイクさんに綺麗にしてもらえるので男優に冷たくあしらわれた事さえ忘れ、愛子の心は弾んだ。
「お待たせしました」
メイク見習いの女の子におしぼりで拭いてもらったとはいえ、
それでもザーメンが残っていたのか胸とお腹は糊が乾いたように突っ張った感覚があった。
熱めのお湯で流してやると突っ張り感がなくなり、心身共にリラックスできた。
脚を開いて股間にもたっぷりのお湯をかける。
何せ唾液たっぷりに舐められたり巨根を突っ込まれて散々かき回されたのだから心は醒めていても自然と愛液が溢れていたのだ。
そんな女の匂いを早く消して仕事モードから解放されたかった。
「お待たせしました」
着衣を済ませメイクルームに入ると前川聡はメイク道具や化粧品を鏡台の前に並べてスタンバイしてくれていた。
「おっ、いい色のスカートだね」
聡はおニューのスカートに目を留め誉めてくれた。
普段から裸を商売にしている愛子にしてみればおっぱいやお尻をスタッフから誉められる事はあってもこうして私服を誉めてもらえる事が少なかったので、何故かその言葉が新鮮で嬉しかった。
「ありがとう。先日のお休みの時に買ってきたおニューなの」
「買い物とかよくされるんですか?」
「ええ、渋谷とかによく行きますよ」
「でも顔が売れてるから出歩いたりするの大変でしょう」
さあ、ここへ座ってと聡が椅子を引いてくれながら気さくに話してくれた。
さあ、ここへ座ってと聡が椅子を引いてくれながら気さくに話してくれた。
数年前まではアイドルグループの一員ではあったが、大所帯のグループだったので愛子の顔を知ってるなんてほんとにコアなファンだけだった。
AVでそこそこ売れても街角で声を掛けられるなんてほとんどなかった。
「ほんとに?俺なら、あ!仁科愛子だ!と一目でわかるけどなあ」
「またまた~」
「ほんとですよ、俺、貴女がアイドルでデビューしたときからずっとファンでしたから…」
単なるリップサービスかと思いきや、聡は小さな声でデビュー曲を口ずさみ始めた。
『ほんとに私をデビューの頃から知ってくれているんだ…』
そう思うと何故か彼にとても親近感を覚えた。
「憧れの愛子ちゃんの髪をこうして触れるなんて幸せだなあ…」
そう言うと髪に顔を近づけてクンクンと匂いを嗅ぎ始めた。
「いい匂いだ…」
いきなり髪の匂いを嗅がれたら「変態!」と思うところだが何故だか愛子は胸がときめいた。
聡は手際よくメイクを施してゆく。
まるで化粧筆が愛子の顔の上でダンスをするように…
まるで化粧筆が愛子の顔の上でダンスをするように…
「はい、完成」
いつの間にか目を閉じてウットリしていた愛子はその言葉で目を開いた。
鏡に映るその顔はアイドル時代の仁科愛子であった。
「我ながら完璧だ」
聡は小躍りしながら喜び、おもむろにスマホを取り出し「写メ撮らしてもらっていいかな?」と言い出した。
愛子としても綺麗にメイクをしてもらったので快諾した。
アングルを変えて数回シャッターを切ると
「記念にツーショットを…」と語尾を濁しながら催促してきた。
「記念にツーショットを…」と語尾を濁しながら催促してきた。
別段断る理由もないのでこれもまた快諾すると頬をピッタリと付けてスマホを構えた。
「ちょっとくっつきすぎですよ~」
「ほんとに?でもこうしないと画面に入らないし…」
そう言いながら更に頬を寄せる。
ハアハアと荒い呼吸が間近に聞こえる…
『前川さん、興奮してる?』
そういえば画面の表情が少し強張ってるような…
『前川さん、興奮してる?』
そういえば画面の表情が少し強張ってるような…
「愛子ちゃんの唇、凄く素敵だよね」
そう言いながらスマホカメラをズームインさせる。
画面に大写しされた唇…自分でもチャームポイントだと自負していた。
「少し舌を覗かしてみてよ」
指示通り舌をチロリと出すと「おお!セクシーだ」と喜ぶ聡…
「せっかくだから動画にしちゃおうっと…」
画面の隅のカメラアイコンが映写機のアイコンに切り替わった。
こうしてアップで見てみるとその唇は我ながらセクシーだと思った。
「ほら、喋ってみてよ」
急にそんなことを言われても困る…何を話せばいいのかしら…
「そうだなあ…じゃあ、キスしてくださいと言ってみなよ」
言われるままに「キスしてください」と言ってみる。
やだ…その唇の動き…本当にキスしたくなっちゃう…
「ほら…もう一度…」
「あぁぁ…キスして欲しいの…」
その刹那、男の手が両肩を抱き、えっ?と思う間もなくキスされた。
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