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2018.07.01 (Sun)

白い雫(あすか原案) 18

順也は香織との恋愛を精算して勉学に励み、
某有名私大に現役合格した。

香織と別れてからは、何度か里中さんと肉体関係を持ったが、
昨年、里中さんが地方の大学に合格し
1年間の浪人生活に終止符を打ち、僕の前から去っていった。

香織も里中さんも去り、もっぱら右手が順也の恋人だった。

ある日、久しぶりに直樹から連絡があった。
『よっ、久しぶり!』
受話器の向こう側から懐かしい友の声を聞いた。

直樹も3流大学へなんとか現役合格し、
学生生活を満喫しているようだった。

『お前、今週の金曜の夜、暇だろ?』

いきなり、何なんだよ。人を閑人扱いしやがって・・・
でもまあ、予定などない。確かに暇だったが。

『なあなあ、うちの演劇部の女子とコンパしない?』
コンパ?そういえば小耳に挟んだが
コンパというのは見知らぬ男女が飲食を共にし、友好を深め合うんだとか・・・

それって・・・なんだか集団見合いみたいだな。
少し興味があったので参加してみようかな。

『そうか。来るか。よしよし、いいぞ。
実は女性陣の参加メンバーが急遽1名増えたんだよ。
これで5対5の釣り合いがとれるよ』
なんだい、単なる頭数あわせのために僕を誘ったのか。

当日、待ち合わせ場所に少し早めに行って、直樹を待つことにした。
文庫本を読みながら、JRに揺られている時のこと、
ふと、顔を上げると、向かいの座席の女性と目が合った。

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『うわぁ~、きれいな女(ひと)・・・』

サラサラしたロングの髪が小顔によく似合っていた。
大きくはないがきれいなラインの胸の膨らみ。
ミニスカートからのぞくすらっとした長い足。

彼女の魅力にしばらく見とれてしまった。
彼女は僕と同じ駅で下車し、雑踏の中へ消えていった。

待ち合わせ場所には、まだ直樹の姿は見えなかった。

『それにしても、さっきの娘(こ)、可愛かったなあ。
あんなかわいい子が今日のコンパに参加してくれたらいいのに』
これって・・・俗に言う一目ぼれってやつかな?

しばらくボーッと待っていると、
「よっ!お待たせ」
ふいに後ろから肩を叩かれた。

振り向くと、大人びた直樹の顔があった。
すこし大人びたが、やはりどこかお互いにヤンチャしてた頃の懐かしい面影も残っていた。

「直樹、パーマかけたんだ?」

「ああ、どうだい。似合うだろ?」
他の直樹の友人3名も髪を染めたり、パーマをかけていた。
なんだかすごくおしゃれ・・・

それに比べて僕はジーンズにトレーナーといったごく普段着・・・
こんな服装で来ちゃったけど。
そう言う僕に直樹は「いいのいいの、その方が俺が目立つから」
そう言ってケラケラ笑った。

あいかわらず失礼な奴。
「さあ、もう時間だ。店に行こうぜ」
僕たちは直樹を先頭にゾロゾロと歩き始めた。

「女性陣はまだ着てないようだな」

小洒落た居酒屋の小さなパーティールームだ。

おい、待てよ。僕たち未成人だよ?
そう問いかけると
「なに堅いこと言ってんだよ。なにも酒を飲もうって訳じゃないんだ。
こういった店のほうが和気あいあいと盛り上がるんだよ」
と直樹が笑った。
まあ、いいか。ジュースなどのソフトドリンクも充実している店のようだし・・・

さあ、とりあえず座ろうぜ。と、言われて僕は直樹の横に腰を落とした。

「お前さあ、なに俺にくっついてんの?
男同士並んで座っても仕方ないだろ?」
えっ?集団見合いみたいなもんなんだから
男性側と女性側に分かれたほうがいいんじゃないの?

そういう座り方をする奴らもいるけど、
俺たちはもっとこう親近感をアップさせたいんだよなあ。
そう言って、バラバラに座った。

しばらくすると、「お待たせ~」と可愛い声で女の子たちがやってきた。
最後に入ってきた女の子を見て、僕は「あっ!」と声をあげた。

なんと、あの電車で向かい側に座っていた女の子だったからだ。
先方も僕に気付いたらしく「あら?」といった表情を返してくれた。

幸運なことに、彼女は僕の隣に座ってくれた。

「とりあえず、乾杯しようぜ!」
直樹の音頭でコップに注がれたビールで乾杯した。
初めて飲んだビールは決しておいしくはなかった。

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さあさあ、自己紹介しようぜ。
誰かが楽しそうに仕切り始める。
みんな、こういった場に慣れているのか、面白おかしく自己紹介を始める。

そして、僕の順番がやってきた。
「え~・・・W大文学部1回生の江本順也です。
将来は作家になりたいと思っています」
ちょこんとお辞儀をして着席する。
えっ?それだけかよ~っとヤジが飛ぶ。
でも他に何を言えばいいのさ。
専ら右手が恋人ですとでも言えばいいっての?

まあまあ、彼はコンパデビューでありましてえ、少々堅くなってるようであります。
と、直樹がフォローしてくれる。

「はじめまして、緑川志保といいます。A学院大学1回生です。
演劇部で小道具担当しています。
私も今回が初めてですのでよろしくお願いします」
お願いされちゃうよぉ~。
彼氏に立候補していいっすかぁ~。
あちらこちらから声が飛ぶ。
どうやら、彼女がこの中で1番人気のようだ。

志保さんかあ・・・いい名前だなあ。
明るい香織や淫乱で姉御肌の里中さんにはない、おしとやかで清楚はタイプ・・・

「江本さん・・・」
彼女から話しかけてきてくれた。

「ずいぶん無口な方なんですね?」

「はあ・・・・ちょっとみんなに圧倒されてまして・・・」

「私もなんです。さっきから矢継ぎ早に質問攻めにあってしまって・・・・
江本さん、作家志望なんですって?」
えっ?自己紹介のときのこと覚えてくれてたの?

「どういったジャンルなんですか?」

「えっ?・・・あまり大きな声でいえないんですけど・・・官能小説を・・・」

「まあ!・・・つまりその・・・Hなお話なんですよね?」
そう、いつもこの時点で相手に退かれてしまう。
官能小説のどこがいけないっていうんだ。

「卑猥だとか思われがちですけど・・・・
でも、男女の営みって本能ですよね。
男女が愛し合うことって一番大切な部分だと思うんです。
その描写無くして恋愛小説は成り立たない。
僕はそう感じているんです」
少し力説してしまった。

「そうですね・・・私も官能小説ってただ卑猥なだけだと思っていましたわ。
これからは偏見の目で見るのやめます」
そう言ってクスッっと笑ってくれた。
なんて笑顔のきれいな子なんだろう。

お互い、あまり飲めないお酒に少し酔ってしまったかもしれない。
トイレに立つタイミングまで同じだった。

トイレの前で彼女が僕に囁く。
「ねえ、このコンパそろそろ抜け出しません?
みなさん、お酒がかなり入って言動が少し乱暴になってきましたもの・・・」
もとよりあまり気乗りしなかった僕だったのでおおいに賛成した。

トイレからもどり、直樹に囁いた。
「直樹・・・僕と緑川さんはそろそろ引き上げるよ。
これ以上ここにいても座を盛り下げてしまうから」
直樹は、そういうことかといわんばかりにニッと笑った。
「お持ち帰り1号って訳だ。うまくやったなあ」
そんなんじゃないよと言い訳しながらあたふたと居酒屋を後にした。


江本さん、帰りの方向、同じですよね?
志保さんが問いかける。
来るときも同じ電車だったの覚えてくれてたんですね?一緒に帰りましょうか。

電車に揺られ、2駅ほど通過した時点で志保が気分が悪いといいだした。
見ると顔色が青い。
「次の駅で降りましょう」

駅のベンチで少し休ませたら、志保の顔色に少し赤みが戻ってきた。

「大丈夫?」
問いかけると、幾分、気分はよくなったが、少し横になって休みたいと言う。

順也の目に駅前のラブホテルのネオンが飛び込む。
『別にH目的じゃないんだし。彼女を休ませるのが先決だ』

「あのぉ~、誤解しないんでほしんだけど・・・
横になりたいんなら、そこにホテルがあるんだけど・・・かまわない?」

「ええ、お願い。ホテルに連れて行って・・・江本さんを信用してますし・・・」

そうやって2人はラブホテルの1室に入っていった。

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テーマ : 18禁・官能小説 - ジャンル : アダルト

00:16  |  白い雫  |  Trackback(0)  |  Comment(2)
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