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2016.01.12 (Tue)

business trip 2

同室でも構わないと藍子が了承したのには二つの理由があった。

一つ目はパジャマがわりに上下のスエットジャージを持参してきたので
肌の露出をせずに済むと考えた。
二つ目は尊敬する課長が狼に豹変して夜中に襲ってなど来ないという確信があった。

泰然自若な藍子に対して
桧山は内心ドキドキしていた。

こんな美人と一夜を共に?
いかん、いかん!
不埒なことを考えてる場合ではない。
上司と部下なのだ。


妄想が加速しそうになるのを理性でグッと飲み込んだ。
だが根底には予想だにしなかったシチュエーションで
激しく動揺する男心が眠っていた。
おかげで食事もさっぱり味がわからなかった。
ミーティングも自分で自分が何を言っているのかさえわからぬほど
しどろもどろだった。
夜が更けるにつれ、二人に睡魔が襲ってきた。

「温泉にでも入って、温まってから寝るとするか」
これ以上のミーティングは、もはや時間の無駄というべきしかなかった。
部屋の内線電話を使いミーティングの終了を告げた。
「すいません、これからお風呂に入りますので
その間にお布団を敷いておいていただけますか」
おそらく住み込みではなく、通いの仲居さんなのだろう
ようやく布団を敷けて帰宅できるという嬉しさからだろうか
「はい!すぐにご用意させていただきます!」と声が弾んでいた。

入浴に行く準備のため、キャリアケースを開いて藍子は愕然とした。
スエットジャージが無い!!
そうだ、せっかくの温泉旅館なのだから浴衣で旅館気分を味わおうと
パジャマがわりのスエットを置いてきたのだった。
『どうしよう・・』
まさかスーツ姿で寝るわけにはいかなかった。
明日もビジネスが待ち構えているのだ
皺だらけのスーツで訪問などできるわけなどない。
仕方ない・・・浴衣で寝るとするか・・・

少し気分が重いまま湯に浸かったが、
温泉の気持ちよさがそれらを吹き飛ばした。
『上司と部下よ・・・そんな襲ってくるなんてことは絶対にないわ!』
それにお互いに疲れきっているのだから
すぐに深い眠りに落ちるにきまっているわ
そう自分に言い聞かせた。

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桧山は温泉から戻って部屋を見てビックリした。
2組の布団が隙間なくピッタリ並んで敷かれていたからだ。
『おいおい、いくらなんでもこれはマズイだろう』
桧山が布団を引き離そうと手をかけた時に藍子が温泉から帰ってきた。
見方によっては桧山が布団を近づけているようにも受け取れない場面だった。
「あ、いや、違うんだ。あまりにもピッタリくっついていたからさあ
少し隙間をつくろうと・・・・」
何をしてるんですか?と聞かれてもいないのに
桧山はなぜか弁解めいた言葉を自然と口に出していた。

「そ、そうなんですか・・・・」
じゃあ、私も手伝いますと、藍子が反対側へ布団を引っ張った。
そのとき、屈んだ藍子の浴衣の胸元が少しはだけて
見事なデコルテが桧山の目に飛び込んできた。
あわてて目を逸らしたが、藍子は桧山の視線に気づき、
こちらもまたあわてて浴衣の襟を正した。

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00:40  |  business trip  |  Trackback(0)  |  Comment(2)
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