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2016.06.04 (Sat)

蒼い月光 2(原案 あすか)

合戦の後、しばらくしてから剣山の元へ
近隣国の佐宗家より縁談の申し込みがあった。

申し込んできたのは、
先ほど落城させた今成家とは一山越えた小さな国であった。

「今成家が滅ぼされ、次に狙われるのが自国であると察知して
先に手を打ってきたのでしょう。」
家臣の吉永が書状を読みながらそう言った。

縁組してしまえば襲っては来まい・・・
当時の時代背景では至極当然の策略であった。

書状など無視して攻め入ったほうが話は簡単であった。
現勢力からすれば5日もあれば落とせることができるだろう。

だが、佐山剣山は女を知らぬ童貞であったので、
その国が差し出すという姫に興味があった。

勢力拡大よりも己の下半身の疼きを鎮めてみたかった。

家臣たちが、この縁談はあまりよい話ではないと乗り気ではなかったが
「書状を持参した者に伝令せよ。この剣山、縁談を引き受けると!」
と命令してしまった。

「な、なんと・・・それでは攻め入る事ができなくなるではありませんか・・・」
家臣は失望した。
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「憂う事なかれ。あんな小さな国、放っておいても途絶えるわ!
それよりも連れてくる姫の顔を拝むのもまた一興ではないか、
醜女(しこめ)を嫁がせてきたら、その場で切り捨てて佐宗国に即刻攻め入る!!」
だが、剣山の心は醜女(しこめ)でもよいから女の味を知りたくてたまらなかった。
気付けば、己の股間の男根が痛いほど屹立し、ふんどしを突き破らん勢いだった。

。。。。。。。。。。。。。。。。

3日後には、佐宗家より一人の女子(おなご)が嫁いできた。
城の門前で、その女子(おなご)の一行が足止めを喰らっていた。

「城内に入るのを許されているのは嫁いできた女子(おなご)だけである!」
門番は、城主の言いつけを守り姫の連れの者たちと小競り合いを繰り返していた。

その様を、剣山は天守閣より密かに見ていた。

「殿・・・このような無礼をしてよいのでしょうか・・・」
家臣は、内心ハラハラしながら顛末を見送った。
たしかに佐宗家は小さな国であるが、佐山家以上の国に同じように縁組をしていたら・・・
近隣の小国には勝算があっても、
彼方より大軍が攻め入ってきたならばひとたまりもなかった。

「牛車が一車だけの貢ぎ物か・・・この、剣山も安く見られたものよのお・・・」
その荷台にしても、姫君の衣服、味噌や米が大半で
剣山の考えている金銀なるものは、ごくわずかだった。


突き刺さるような剣山の視線を感じたのであろうか、
眼下の駕籠(かご)が開き、その中の女子(おなご)がふいに顔を出して剣山を見上げた。
娘の顔を見た瞬間、剣山は恋に落ちた。
それほどまでに娘は器量がよかった。
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「ほお~、これはまた、えらいべっぴんを嫁がせたものじゃ・・・」
家臣も見とれて思わず感嘆の声を漏らした。

「中に入れてやれ・・・」

「は?」

「あの女子(おなご)の従者たちも城内に入れてやれ!
今宵は宴じゃ!祝言の宴を開くぞ!!!」
剣山は、いよいよ我が身に春が来たと有頂天になっていた。

城主の号令ひとつで、たちまち城内は活気にあふれ出した。

間近で姫君の顔を見た剣山は大はしゃぎだった。

美しい姫君を嫁がせた佐宗家にお礼の親書を書き、
姫君を連れてきた従者に手渡した。
来るときは牛車が1台であったが、帰路の際には3台に増えていた。
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19:00  |  蒼い月光(コラボ作品)  |  Trackback(0)  |  Comment(2)

2016.06.04 (Sat)

蒼い月光 1(原案 あすか)

このお話はあすかさんというブロガーさんが数年前に発表されたものです
あすかさんはすでにブログをやめてしまっているのですが
ブログを離れても、あすかさんとはたまにメールやLINEでお話をさせていただいております

あすかさんの作風は現代ものが多いのですが
この作品だけ時代劇ものです
あすかさんなりに試行錯誤で書き上げたのですが
どうも納得がいかないということで
今回二人で完璧版にしてみましょうということになり
僭越ながら私のブログで発表させていただくことになりました
(あすかさんは文才があるからブログ引退は惜しいのですけどねえ・・・)

では、あすかさんと私の合作コラボをお楽しみください

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


「月称院(げっしょういん)さま・・・・
お世話になりありがとうございました・・・」
孫の祥姫(さちひめ)が婚姻前の挨拶に月称院の部屋へ訪れた。

婚姻とは名ばかりで
力のある大名のもとへ血縁を結ばせるための人質に出すようなものだった。

『いつまで女子(おなご)が犠牲になる世が続くのか・・・』
三つ指をついて頭(こうべ)を垂れる孫が不憫(ふびん)でならなかった。

「どうか元気で暮らすのですよ・・・」
明るく送り出さねばならぬのに、語尾が涙声で震えた

「いやでございますわ。まるで今生のお別れのような・・・
祥姫(さちひめ)は三十万石もの大名様の正室として嫁ぐのですよ
武士の娘として、これ以上の出世はございませんわ」
まだ齢(よわい)13歳の孫娘は屈託のない笑顔を見せた。

『この子はまだわかっておらぬのじゃ・・・
世継ぎを産めなかったときの正室の惨めさを』
月称院はこれまで世継ぎを産めぬばかりに冷たく待遇されてきた正室を幾人も見てきた。
『どうか、この子が世継ぎを産んで正室として敬われますように』
そんな願いをこめて餞別として小さな手裏剣を授けた。


「これは曾(ひい)ばあさまの・・・?」
幼き頃に子守唄がわりに聞かせてあげた物語を覚えてくれていたようだ
その手裏剣にまつわる我が母君、お千代の数奇な物語を・・・・・



。。。。。。。




朱里(あかり)は血生臭い草原を、
身を低くして疾走していた。
すぐ脇を敵軍の足軽兵が勝利を確信して走って行く。

朱里は細心の注意を払い、
なるべく戦場から距離をおいて藪のなかを突き進んだ。
手にしている小太刀は刃こぼれして
ボロボロの状態だった。
今、敵方に遭遇しても太刀打ちするどころか
手負いの兵にすることさえままならないであろう・・・



時に世は、後に言われる戦国時代。

語り継がれる大きな合戦だけでなく、
武将として名を上げんとして、
小さな合戦が日本全国、いたるところで繰り広げられていた。

女忍の朱里が仕(つか)える今成貞虎(いまなりさだとら)もまた、
勢力を拡大しようと隣国に攻め入っていた。

多勢に無勢で勝ち目はなかったが、武将として自国の民や百姓のため
生き残りをかけて捨て身の戦いに討ってでたのであった。

負け戦は目に見えていた。
劣勢の中、貞虎は朱里に敵将の首を討ってこいと命じた。
合戦は将棋と同じように敵将の首を捕った時点で勝利となる。
小国が大国に勝つために、狙うは敵将の首ひとつであった。

朱里は女とはいえ、忍(しのび)としては一流の腕をもっていた。
小さな流派でなく、伊賀や甲賀の忍として生まれていたなら、
間違いなく上級の忍として、名のある武将に仕えていたはずである。
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敵陣を目指す途中で幾多の歩兵を蹴散らした。
だが、その代償として長太刀は折れ、火薬玉は底をつき、
小太刀は刃こぼれが著しく、
使える武器は懐に忍ばせた数本の手裏剣のみであった。

小高い丘の上に、敵方の陣幕が見えた。
朱里は見事な跳躍で陣幕を飛び越え、敵の陣地に降り立った。

「何奴(なにやつ)!?」
不意に現れた「くのいち」に敵陣は色めき立った。
快勝を信じて酒盛りで宴に興じていただけに、その慌てぶりは滑稽であった。

だが、ただ一人、敵将の佐山剣山(さやまけんざん)だけは落ち着き払っていた。
多勢に無勢であるがゆえに、こうした捨て身の戦法をしてくると読んでいた。

「名を名乗れ」
剣山は腰差しを引き抜くと静かに上段に構えながらそう言った。

「忍ゆえ、名乗るべき名前などござらん!」
朱里は戸惑った。
敵将と言うからには、無骨な大男を想像していたが、
目の前の敵将は元服したての子供の面影を残す青年だったからだ。

それ以上に驚いたのは、刀を持っている構えだった。
一寸の隙もなかった。

『肉を切らして骨を絶つ!』それしか朱里には勝機が見当たらなかった。

刃こぼれの小太刀を握りなおして懐に飛び込んだ。

だが、右手の肘に熱湯を浴びせられたような衝撃の瞬間、
朱里の右手は肘から先を切り落とされていた。
だが、それは作戦どおりであった。
残った左手を懐に入れ、手裏剣をまさぐった。
この一本の手裏剣ですべてを終わらせる。

だが、迂闊にも、右腕からの血飛沫が目に入り、視界が霞んだ。
その隙を剣山は見逃さなかった。
左手に握った手裏剣を剣山の首に突き刺すよりも一瞬早く、
朱里の胸に衝撃が走った。

バチンという心(しん)の臓がはじけ割れた音がした。
次の瞬間、五臓六腑からの出血を感じた。
ものの見事に剣山の刃が朱里の心臓を突き刺したのだ。

「敵ながら、あっぱれ!」
これが朱里が聞いた今生の最期の声であった。

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